【国際関係学部】クロスゼミが東京でフィールドワークを実施しました
2023.10.10

2023年9月24日(日)、国際関係学部「研究演習」(クロス京子ゼミ)の3年次生が、東京にある遊就館、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、高麗博物館の3つの施設を訪問し、フィールドワークを行いました。
(国際関係学部 3年次 小出 彩生)
最初に訪問した遊就館は、靖国神社にある施設です。靖国神社は国家のために命をささげた人々の霊を慰め、その人々の業績を後世に伝えるために創建されました。遊就館では天皇誕生からの日本の歴史や靖国神社の創祀、戦没者の遺書や遺品などの史料が展示されており、日本の国防強化のきっかけやそれに携わった人物について学びました。3つの部屋の壁一面に展示された戦没者の遺影や遺書、遺品の展示から多くの人々が戦地へと行き命を落としたという事実を実感しました。また、遺書や人物の経歴から戦争へ行った兵士がどんな人物であったのか、戦争に巻き込まれた人々の生々しい心情が伝わってくる展示でした。

次に訪問したアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館(wam)」は、慰安婦や女性の権利について展示している施設でした。wamは2005年に戦時性暴力、日本軍慰安婦制度に焦点を当てた活動の拠点として開かれました。ここでは日本軍による慰安所設置の経緯や目的、加害者、被害者の声など日本軍の加害の歴史を知りました。慰安婦とひとくくりにいっても、その被害や慰安婦になってしまった経緯は人それぞれであり、一人一人異なる被害の歴史があることが分かりました。また、慰安婦という過去の経験によって、長年苦しめられている人々の存在を知ることが出来ました。

最後は、新大久保にある高麗博物館を訪問しました。この博物館は「朝鮮と日本の文化交流の歴史を可視化して展示する」「負の歴史を提示する」「どんな人も日本の社会で共生していく」の3つを目的に活動されています。訪問時には、大正12年に起こった関東大震災での朝鮮人虐殺についての特別展が開催されており、展示を作成した方からお話を伺うことができました。震災時の混乱の中で、メディアや市民によってデマが流布されたそうです。それによって不逞朝鮮人とみなされた人々が虐殺されました。高麗博物館ではこの出来事の背景やその時の様子を史料や当時の絵を元に紹介されていました。その中にあった関東大震災の絵巻が非常に印象に残っています。それには虐殺が行われた様子とその遺体の扱いが描かれていました。虐殺された人々と災害で亡くなった人々の遺体の扱いの違いが展示されており、行為の残虐さが伝わってきました。


これらの3つの施設の訪問を通して、立場が違えば物事の見方、構成が変化することを学びました。最初に訪問した遊就館とその後のwam、高麗博物館では展示の視点が全く異なっていました。このように、過去を記憶する視点は立場によって異なることを実際に資料館に足を運んで学び、多角的な視点を今後の学習に生かしていく必要性を感じました。