【国際関係学部】クロスゼミがウトロ地区を訪問

2023.06.01

2023年5月28日(日)、国際関係学部「研究演習」(クロス京子ゼミ)の3年次生と4年次生が、宇治市にある「ウトロ平和祈念館」を訪問しました。

ウトロ地区は、かつて戦時中に「京都飛行場」建設に携わった労働者たちの飯場でした。日本の敗戦後も朝鮮半島出身の労働者たちは同地区に住み続け、コミュニティが形成されました。基本的なインフラ整備は遅れ、劣悪な生活環境ではありましたが、貧困や差別に苛まれる在日朝鮮人のセーフティネットとしての役割を果たしていたと言います。しかし、1989年に不法占拠として立ち退きを迫られました。住民たちは「居住の権利」を訴えて最高裁まで闘いましたが、2000年敗訴しました。ウトロ住民は土地の強制明け渡しの危機に瀕しましたが、日本人支援者らとともに広く国際社会に訴え続けました。その結果、韓国政府からの支援や韓国市民らの募金によって2007年に土地の一部を買い取ることができ、2018年には公営住宅が整備されました。
ウトロ平和祈念館前での集合写真
ウトロ平和祈念館は、ウトロの歴史と記憶を継承し、未来を担う人たちが地域や国籍を超えて交流し、新しい社会を築いていく場として2022年にオープンしました。クロスゼミでは、祈念館建設前からウトロ地区を訪れ、在日コリアンに対する差別についてフィールドワークをしています。今回は祈念館訪問後、京都府立城南勤労者福祉会館で、2000年初めのウトロの様子を撮影したドキュメンタリー映画『ウトロ 家族の街』を鑑賞し、上映後に武田監督のお話を伺いました。在日コリアンに対する差別感情からウトロ地区で放火事件が起こるなど、日韓の交流が深まる一方で、排除・排斥を煽るヘイトスピーチが巷にあふれています。映画では、強制執行におびえながらも、互いに助け合いながら在日コリアンとして生き生きと暮らす家族の様子が描かれていました。日本社会から「放置された」ウトロの歴史に触れ、差別の背景にある無知や無関心を克服する必要性を感じました。
上映会前に話す主催者の陸奥賢(左)と武田倫和監督(右)
上映会の様子
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