【文化学部】「茶の実」からの地域ブランドづくりー宇治田原町での茶の実摘み体験からの報告ー

2023.11.20

地域の文化は、どのような価値創造の熱意に支えられ、ストーリーを創発しているのでしょうか。10月28日、文化学部京都文化学科 中野 宏幸教授の「観光文化基礎演習B(2年次生)」は、「お茶の京都」エリアの宇治田原町で、茶の実摘み体験と地域発信の取り組みを学ぶフィールドワークを行いました。
今回の訪問では、3年前に町に移住された「宇治田原町地域おこし協力隊」の高橋 一樹氏に「茶の実オイル」の開発のお話を伺いました。高齢化等で使われなくなった茶園を活用して「茶の実オイル」作りを始め、地域の方々のご協力の下、コンセプトづくりから体験コンテンツの開発までを手掛けています。オレイン酸やビタミンEが豊富な「茶の実」は化粧品として注目されていますが、この取り組みは、茶畑の潜在価値を発掘し、地域を発信する有力な手法にもなります。学生は、茶の実摘みの体験をし、起伏に富んだ地形を生かす茶畑の特性や情報発信のあり方などの地域の課題について理解を深めました。
宇治田原町の茶畑で、茶の実を摘みました
オイル開発のキーワードは、「生まれ変わる」です。高橋氏からは、開発のストーリーづくりに向けた熱い思いとともに、ご自身の人生観や学生時代の経験談をお話いただき、学生と意見交換を行いました。学生からは、商品を練り上げるプロセスと粘り強い市場開拓の努力に驚きが示されました。
熱心に茶の実摘みをする学生
木谷氏からの町の歴史の説明
取り組みのプロセスに関する高橋氏からの説明と意見交換
収穫した茶の実の説明
また当日は、地域のボランティアの方々から構成される「1738やんたん里づくり会」の観光部会長の木谷 茂和氏のご案内により、永谷宗円生家でお茶の歴史や製法を学ぶとともに、湯谷会館では、やんたん地域の郷土料理「茶汁定食」をいただきながら、地元の方との交流を深めました。
「お茶の京都」は、京都府南部の12市町村から構成される「もうひとつの京都」の取り組みです。宇治田原町には、美しい茶畑と茶問屋や茶農家が並び建ち、徳川家康の「伊賀越えの道」のルートとしても知られます。学生からは、「今後の細かい展望や今年度の進捗等からどうしていくべきかを深く考えていて、新しく事業を始める大変さがわかった」「地元の方に色々な話を聞かせていただけるのは、とても新鮮で楽しかった」「お茶の実摘み、茶汁の体験や、海の底であった頃の貝の化石や地層を見ることができたり、宇治田原町には考えていたよりも多くの魅力があると感じた」という声が聞かれました。地域とのつながりを深めつつ、地域文化の魅力を感じてもらいたいと思います。
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