【文化学部】京友禅の老舗「千總(ちそう)」に学ぶものづくり

2023.05.31

5月20日(土)、株式会社千總の千總本店および千總ギャラリーにて、文化学部専門教育科目「京都文化演習ⅠA」(担当:成田 智恵子助教)が学外演習を実施しました。本演習では伝統工芸と伝統意匠を学ぶことによって、各時代・各地域において支持されたものづくりの在り方やその文化的背景についての理解を深めます。今回は京都市中京区にある京友禅の老舗である千總の取り組みを通じて、千總のものづくりに対する姿勢や精神性、京友禅の今について学びました。
本社外観
振袖を前にして説明を受ける学生
当日はまず株式会社千總の川添 昭博部長から会社や千總本店の概要について説明いただき、その後店内に陳列されている種々のきものや帯を鑑賞しながら、日本人の正装としてのきものについてのお話を伺いました。初着や祝着には子どもの健やかな成長に対する喜びや未来への祈りなど、家族からの多様な想いが込められています。また、ひとえにきものと言っても、訪問着や色留袖、黒留袖、振袖などのさまざまな種類があり、意味付けや柄、着用する場面がそれぞれ異なります。今回演習に参加した学生たちは3年次生ということもあり、自身の成人式の様子を思い出しながら、きものに関する知識を深めていました。

次に、千總本店2階にある千總ギャラリーにて、開催中の展示「価値をたずねる」を鑑賞しました。ギャラリー担当の石田 直子学芸員から提示いただいた「作品の価値が形成される背景にはどのようなストーリーがあるのか」という問いを切り口に、作品の模写や染めと刺繍を施した屏風、千總のものづくりを支える参考資料、小袖などの展示物を鑑賞しながら、作品に内在する価値について考えを巡らせました。作品という目に見えるものの後ろにある目に見えないものを考えることによって、「ものづくりとは何であるのか」、「見るということはどういうことであるのか」を再考するきっかけとなりました。
川添部長による千總のきものの説明
石田学芸員によるギャラリー解説
参加した学生たちからは、きものの文様や空間構成、色などの意匠に関する質問や、振袖に使用されている技法、きものを着用する人の年齢や地域によってきものの好みが違うのか、などの多様な質問がありました。また、「ものづくりの背景を考えることが楽しかった」「普段はきものについて学ぶ機会があまりないので、実物を見ながら学ぶことができて良かった」「演習に参加する前と後で、きものや伝統産業に対する見方が変わった」などの声が聞かれました。千總本店では文化学部卒業生も社員として活躍しています。
               千總本店前にて記念撮影
※千總ギャラリーでは年に4回程度テーマ別の展示を行っています。現在開催中の展示「価値をたずねる」は2023年4月6日から6月25日まで開催しています。 
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