【経済学部】藤井ゼミが京都信用金庫と「気候変動対策における地域金融機関の役割と課題」について意見交換
2023.08.08
開催日時:2023年7月4日(火)10:00~11:30
開催場所:QUESTION(京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町390-2)
【参加者】
京都信用金庫 ネクストコミュニティ共創部
部長 水谷 善彦氏
課長 岸本 恵太氏
課長 𦚰 敬允氏
ゆたかなコミュニケーション室 奥西 琴子氏
コミュニティマネージャー 伊東 莉加子氏
経済学部 3年次 藤井ゼミナール
泉原さん、浮中さん、川崎さん、河島さん、田邊さん、中村さん、福岡さん、松本さん


意見交換の概要
- 地域金融機関として期待される役割についてとその背景
- 近年のSDGs・ESG・脱炭素の連携事例について、7つの種類に分けて考え、金融機関の関与度合いと関係者の広がりを点、線、面で表したマッピングの図表と実際に全国で行われている連携事例を基に解説
- 地域の脱炭素の取り組みの加速化
- 気候変動に対する中小企業の動向
- 中小企業が気候変動問題に取り組めない理由
- 金融機関に求められる役割(投融資先による支援、ノウハウの提供、成功事例の共有、排出量の把握、政府・地域との連携)
以上について田邊さんが説明しました。
京都信用金庫からは「京都には家族単位で経営している企業なども多く存在するが、そうした方々もこうした取り組みの一端を担う重要な役割があると気づいてもらうことが大切であること、また全国的な取り組み事例やマップを受けて、改めて地域金融機関として重要な役割があることを感じた」といったご意見を頂戴しました。
次いで、京都信用金庫から脱炭素へ向けての取り組みについて説明が行われました。
京都信用金庫の脱炭素へ向けての取り組みの一つとして、S認証という制度があり、企業活動の社会的インパクトの見える化を通じて、企業・消費者・地域関係者などからなる地域社会におけるSocial Goodのマインドの醸成に取り組んでいるとのご説明がありました。
実際に取り組んでおられる京都の景観保全と生物多様性の保護についての事例が紹介され、地域循環型の持続可能性を大切にし、金融機関として地域と伴走していく上で、事業の大きさなどの事業性評価のみで判断することはせずに、地域への影響を評価した上で取り組んでいるとのご意見をいただきました。
加えて、ソーシャル企業認証制度、京信ソーシャル・グッド預金、SOCIAL GOOD DAYについてのご説明をいただき、社会課題に対して事業者と消費者の双方のソーシャルマインド(社会的な意識)を高める活動を行なっているとのことでした。
そのほかに、京都信用金庫は湖東信用金庫や京都北都信用金庫と商品の共有などを行なって地域金融機関同士の連携を大切にされており、こうした気候変動問題などの社会問題の解決には、利己や私利私欲といったものではなく、利他公益の考えが最も大切であるとのご説明がありました。
質疑応答の内容
Q. S認証を広める活動はどのように行なっていますか。
A. 本部だけでなく、各営業担当が広報を担い、事業者とどういった利点があるのかと常に対話を通じて進めています。
Q. コロナ禍を踏まえての直近一年の企業の脱炭素に対する取り組みは、どんな感じですか。
A. 脱炭素に関する問題は各企業にとっても決して無視できないものとなっており、関心を示す企業は増加傾向にあります。
Q. 金融機関同士の連携で苦労したことは、どのような点ですか。
A. 競合相手と事業を行うことは本来難しいものですが、真剣な対話を通じて連携を実現しています。このような事例を通して、ソーシャルマインドの形成が非常に重要です。
Q. インパクト志向金融宣言に賛同した経緯について、教えてください。
A. ソーシャルな関係性を重視しており、どういったポジティブな影響があるのかを考慮した上での署名です。
Q. 京都の企業が脱炭素の方向へ向かっているが、全体の割合としてはどのくらいですか。
A. 鉄鋼業や自動車産業といった分野での脱炭素に向けた取り組みは進んでおり、京都でも事業者に向けてアプローチを積極的に行なっています。また、そうしたアプローチを行うためには職員一同の脱炭素に関する知識が必要で職員の学習も行なっています。
今回の意見交換を終えて各ゼミ生の感想
脱炭素社会に向けた取り組みとして京都信用金庫の行っているS認証についてや、実際の京都企業の脱炭素に向けた実情を具体的に知ることができ非常に有意義な時間でした。(中村さん)
S認証による企業の取り組みの見える化やソーシャル・グッド預金による地域企業への融資など、地域社会のソーシャルマインドを醸成することが脱炭素社会を実現するために非常に重要であることを学びました。(川崎さん)
脱炭素に向けての活動だけではなく中小企業がそれぞれ担っている役割に気付くことも大切だということを知りました。また、京都信用金庫は地域に根付いた活動に力を入れていると感じました。(浮中さん)
脱炭素社会実現に向けて、京都信用金庫と企業との連携を映像と共により具体的に知ることができ、また企業同士の連携も知ることができたと同時に企業と脱炭素に向けた連携をするにあたって京都信用金庫が大事にしている考えなども生で聞くことが出来て、とても有意義な時間を共に過ごすことができました。(河島さん)
京都信用金庫の社会問題に対する考え、行動力を直接知ることができ、今後のゼミ活動への良い刺激になりました。また、自らの利他行動、公益を意識した取り組みが重要であることを学びました。(泉原さん)
今回の意見交換会で、より京都信用金庫の地域金融機関としての役割を再確認できました。特にS認証やSOCIAL GOOD DAYはとても印象に残り、社会問題をみんなで解決していく利他的な考えが重要だと学べてよかったです。(松本さん)
今回の意見交換を通して、私たちが調査した内容についての取り組みを具体的に知ることができました。特に、S認証などの制度の構築や他の金融機関との連携を通じて、企業・消費者・地域など地域社会におけるソーシャルマインドの醸成に取り組み、利他公益を目指す姿は金融機関としての役割を大切にされているのだと感じました。(福岡)
京都信用金庫には、貴重なお時間をいただき、心より御礼申し上げます。ご丁寧な説明と対応をしていただき、大変勉強になりました。今後の我々の研究にも活かしていきます。重ねて御礼申し上げます。(藤井ゼミ一同)