【理学部】物理科学科の齊藤准教授が粉体せん断流における拡散と動的不均一性の関係について学術論文を出版

2022.10.24

研究成果

理学部物理科学科の齊藤国靖准教授らは、粉体せん断流における拡散と動的不均一性の関係に関する研究を行い、粉体の拡散係数と動的感受率の関係性を数値シミュレーションによって明らかにしました。この研究成果は学術誌Frontiers in Physicsの論文として掲載されました。

掲載論文

著者:Kuniyasu Saitoh and Takeshi Kawasaki
題目:Shear-induced diffusion and dynamic heterogeneities in dense granular flows
掲載誌:Frontiers in Physics 10, 992239 (2022)

DOI: 10.3389/fphy.2022.992239
URL: https://doi.org/10.3389/fphy.2022.992239

研究概要

粉体をはじめ、一粒一粒が目に見える巨視的な粒子の集まりは、私達の身の回りに多く存在する物質です。この様な粒子の集まりは何もしなければじっと静止したままですが、何かのはずみで流れることもあります。例えば、地盤が緩んだ斜面における土砂崩れなどが挙げられます。粉体が流れると、その中の粒子は複雑に位置を変え、時々刻々と拡散していく様子が観察されます。また、拡散する粒子を全体として見たとき、空間的に不均一な集団運動を見せることがあります。そこで、本研究では分子動力学法を用いた数値シミュレーションにより、粉体の基本的な流れである単純せん断流を再現し、流れの中の粒子の拡散と動的不均一性の関係について調べました。数値データから粒子の平均二乗変位や動的感受率(下図)を計算し、粉体の拡散係数と動的感受率の最大値およびピーク位置の相関を明らかにしました。粉体の流れはジャミング転移に大きく左右されることが知られていますが、これに加えて、せん断率や粒子の間に働く粘性力の種類によっても影響されることが解りました。この研究成果は、粉体の攪拌など、工業的にも応用されることが期待されます。

参考

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