【文化学部】宇治田原町で「お茶づくり体験」とお茶の文化を学ぶフィールドワークを実施

2022.12.01

宗円交遊庵やんたんでの集合写真。後列右から3番目は高橋氏
文化学部京都文化学科の中野 宏幸 教授担当の演習科目では、宇治田原町で合同でのフィールドワークを行いました。「お茶の京都」エリアの宇治田原町は日本緑茶発祥の地であり、町全体がハートの形をしたハートウォーミングな町です。「やんたん(湯屋谷)」は、その南東部の谷奥に位置し、お茶の歴史を巡る悠久の時間と心の温かさを感じることができる地域です。学生たちは秋の新茶の収穫を迎える10月に訪問し、お茶づくりの体験を通じ、お茶の歴史や製法、お茶の活用の取組を学びました。
浅田会長から抹茶立ての指導を受ける学生
京番茶づくりの様子
地域活性化に取り組む住民の方々が運営する地域交流拠点施設「宗円交遊庵やんたん」では、「1738やんたん里づくり会」の浅田 豊士 会長のご指導の下、京番茶づくり、抹茶の石臼挽き、抹茶たての体験をし、早速つくりたての番茶をいただきました。町に移住されてきた「宇治田原町地域おこし協力隊」の高橋 一樹 氏からは、地元の方々のご協力の下に手がけている「お茶の実オイル」の開発物語をお聞きしました。「お茶の実」は化粧品として注目されていますが、お茶畑のさらなる付加価値を見いだし、地域から発信する有力な手法になります。茶の実の畑探しやオイルの製造、ブランドづくりに至る様々な課題に対応されてきた説明をいただきました。
高橋氏の「お茶の実」開発物語を熱心に聞く学生
茶汁定食
 「お茶の京都」は、京都府南部の12市町村から構成される「もうひとつの京都」の取組の1つです。中国からお茶が伝えられて以来、土質など自然条件に恵まれていたことから、宇治で急速に栽培が拡大し、18世紀中期には、宇治田原湯屋谷の永谷宗円により「宇治製法(青製煎茶法)」が生み出されました。美しい茶畑と茶問屋や茶農家が並び建つ町並みからは、茶産業の歴史と発展が伝わってきます。2015年には「日本茶800年の歴史散歩」とのテーマの下、日本遺産の第一号に指定されています。
茶宗明神社の案内を受ける学生
永谷宗円生家の案内を受ける学生
 永谷宗円生家では、「1738やんたん里づくり会」のボランティアの方のご案内により、お茶の歴史や製法を学びました。また湯谷会館では、やんたん地域の郷土料理「茶汁(※)」やお茶の葉の天ぷらを盛り付けた「茶汁定食」をいただきながら、地元の方との交流を深めました。

今回はフィールドワーク全般を通じ、「お茶の京都 DMO」(京都山城地域振興社)の方のご案内により、山城地域の魅力や特徴を幅広く学ぶことができました。宇治田原町では、四季と歴史を感じながら、里山に伝わる伝統行事・イベントを含め、自然景観、歴史や里山のハイキング、新鮮野菜やスイーツを楽しむことができます。秋の時期は、宇治駅とやんたんを結ぶ観光ループバス「お茶の京都宇治やんたんライナー」も運行しています。
学生からは、「お茶の文化を肌で知るとともに、地元の方の新しいチャレンジのお話しも聞くことができ、非常に有意義な時間だった」といった感想がありました。学生にとって、京都の歴史と伝統文化をあらためて深く学ぶフィールドワークとなりました。

※)茶汁 農作業の時の昼食として家庭からみそ玉を入れたお椀を持っていき、焚き火でなすやニシンを焼き、自生しているみつばやセリを加え、番茶を注いで食するものです。2022年3月には文化庁より、世代を超えて受け継がれ、長く地域で愛されてきた「100年フード」に認定されています。
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