【文化学部】外国語×音で発信!京都の魅力

2022.08.08

文化学部では、学生が大学の外へ出て実践的な学びを深める「フィールドワーク」を大切にしています。英語で京都文化を説明するスキルを磨く「異文化コミュニケーション演習ⅠA」(担当:ペレッキア ディエゴ准教授)では、DJ兼ラジオプロデューサーとして活躍されているNick Luscombe氏の「音から世界を見つめる」というプロジェクトに参加し、京都らしさを表す音について考えました。京都市内の十数カ所に足を運び、そこで聞こえる音を録音するというフィールドワークを通して、音から京都を説明しようと試みました。

受講生の原田 瑠花さん(京都文化学科3年次)から、以下のとおり活動報告が届きました。

まず、Nick氏と学期はじめにミーティングをし、どのような活動をされているのかお伺いしました。Nick氏は、「生活音」や「環境音」と呼ばれるような、私たちの暮らしの中で聞こえる「音」に焦点を当てることによって、文化的差異や音が人々に与える影響について発信されています。私たちは、受講生が京都を形づくる環境音について考え、実際に現地へ行って録音し、活動のまとめとしてウェブサイトを作成することにしました。
ミーティングの後、私たちは録音に適していると思われる場所をいくつか挙げ、録音作業に入りました。録音の際、特別な機材は使用せずに普段使用しているスマートフォンで代用しましたが、強風や設置場所に配慮するだけで、簡単に問題なく作業を進めることができました。鴨川やバス停など普段から利用する場所をはじめ、平安神宮や旧川崎家住宅といった知名度のある場所まで、合間を縫ってあらゆる場所に出向きました。録音した音を聞き返してみると思ってもみなかった音が録音されていたり、聞き慣れている音であっても新鮮に感じたりして、毎回新しい発見がありました。
上賀茂神社、石灯呂店、能面師の工房など、いくつかの場所ではNick氏とともに録音作業を行いました。上賀茂神社ではお賽銭を投げ入れる音やおみくじを引く音を収集することができました。日本らしさ、京都らしさを象徴するような音で、ゆったりとした時間の流れや神聖な雰囲気を感じました。西村石灯呂店では東山の裏側に石灯呂が並び立っている神秘的な環境で、人の手が固い石を柔らかな形にする作業を見学しました。また、能面師の宇髙 景子氏の工房では、実際に能面の制作工程を拝見させていただきました。能面ができあがるまでの作業は私が想像していたよりも力仕事で、重く体に響くような音を体感しました。
ウェブサイト「The Sounds of Kyoto」の作成に取りかかると、サイトの構成や技術的な部分だけではなく、私たちの体験した音を表現する言葉選びに苦戦しました。その場を訪れたことのない人々に録音から感じた感覚をどうすれば伝えられるのか、とても悩みました。最終的に、なんとかクラス全員が納得できる形にまとめることができ安堵しました。
私たちは毎日、意識的にも無意識的にも音情報に囲まれて暮らしていますが、聴覚だけに集中して過ごす時間はほとんどありません。今学期の活動を終えて、普段気に留めない些細な音ひとつひとつが私たちに季節や場所、空間や感情といった感覚を伝え、それらの音が地域のアイデンティティを形づくるひとつの要素であるという視点に初めて気が付きました。そして、私たちの暮らしの中で聞こえる環境音に焦点を当てることで、文化的差異や、音が人々に与える影響について考えるきっかけになりました。

録音作業の様子—上賀茂神社にて橋を渡る足元の音
録音作業の様子—上賀茂神社にておみくじを引く音
西村石灯呂店の西村 大造氏のご案内
録音作業の様子—胡粉を砕く音
プロジェクトの学生メンバー

京都文化学科では、京都の町でホンモノに触れる学びを大切にしています。
他にもさまざまな学びを実践しています。
ぜひ!京都文化学科生の学びをのぞいてみてください。

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