【⽂化学部】志賀浄邦教授が著書『シャーンタラクシタ『真実集成』の原典研究—業報・論理・時間—』を出版

2022.04.07

2022年3⽉、⽂化学部国際⽂化学科の志賀浄邦教授が執筆した『シャーンタラクシタ『真実集成』の原典研究—業報・論理・時間ー』(起⼼書房)が出版されました。

著書紹介

〈縁起〉の立場から広汎な問題を考察した、インド仏教哲学の金字塔。インド大乗仏教の巨匠・シャーンタラクシタ(8世紀)が、仏教内外の哲学的問題を考察した『真実集成』。本書は、詳細な解題と、弟子のカマラシーラの注釈と共に、三章分の和訳と校訂テキストを収録し、インド仏教哲学の神髄に迫ります。

志賀教授からのメッセージ

この度、本学より出版助成を受け、上記の書籍を無事出版することができました。この場をお借りして、関係各位に心より御礼申し上げます。本書は、8世紀にインドにおいて書かれた『真実集成』という文献とその注釈3章分の校訂テキストとその和訳・注解を主な内容としていますが、いわゆる専門書であるため、書名をご覧になってとっつきにくい印象を覚えた方が大半なのではないかと思います。サンスクリット原典の翻訳にあたっては、漢訳語や仏教特有の専門用語はできる限り使わないようにする、翻訳のみを読んでも意味をつかめるような文章にするなど、専門外の一般読者にとっても理解しやすい表現となるよう工夫したつもりです。翻訳を通じて、少しでもインド仏教哲学の深淵さと、シャーンタラクシタとカマラシーラという二人の人物の鋭敏な知性に触れていただけたら幸いです。本書において翻訳を提示した3つの章において扱われる「行為とその結果」「推理」「時間の流れ」といったテーマは、哲学一般においても論じられているものですので、広く哲学・思想に興味を持つ方にも読んでいただけたらと思います。なお、表紙で使用されている写真は実際の貝葉本(ヤシの葉に書かれた写本で12世紀頃のもの)の画像で、原典の解読の際に使用したものの一部となりますが、インドのジャイサルメールにあるジャイナ教寺院の文献収蔵庫に保管されていて、現在は直接閲覧することができない大変貴重な資料です。本書は、本学の図書館や11号館の読書室にも入っていますので、関心のある方はぜひ一度手に取ってみてください。
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