【経済学部】イケダゼミがフィリピンからの介護技能実習生及び龍谷大学国際学部との交流会を開催

2022.02.10

1月11日(火)にイケダゼミ2・3年次生(21名)、龍谷大学国際文化学部の学生(19名)及び、フィリピンからの介護技能実習生(31名)と京都市内にある一般社団法人国際高度人材開発センターの理事教育担当・事務局長の藤野英治氏との4者で交流会をZOOMで行いました。「日本社会の介護ニーズ及び異文化に対する理解:介護の仕事、親の介護、自分の介護」をテーマにフィリピンと日本の介護並びに老後の生活についてディスカッションをしました。

初めに、技能実習生による日本語での丁寧な歓迎のあいさつから始まり、10のグループに分かれてグループワークをしました。グループワークでは、介護に関する「親の介護」と「自分の介護」の2つの質問に答えてその回答をまとめ、それから読み取れることを発表する形式で行われました。

日本とフィリピンの介護に対する価値観の最も大きな違いは、介護施設の認識についてだと感じました。全体として日本人の学生は介護施設の利用という選択肢を検討しているといった意見が多く見受けられたのに対して、介護施設の利用を検討しているフィリピン人の方はそこまで多くありませんでした。この違いは主にフィリピンでは介護保険制度がないことと、フィリピン人と日本人が持つ家族観に起因していると感じました。
フィリピンの人口構成は若者世代の占める割合が多く、25歳未満が約半数を占めており、介護対象となる老齢世帯の絶対数が少ないため、フィリピンでは介護施設はほとんどなく、さらに介護保険制度がないため利用に係る全ての費用を個人が払わなければならないという実態があるようです。またフィリピンでは、自分の親、親戚との繋がりを重んじる価値観を持つ方が多く、親の介護は子供が行う風習があり、介護負担を軽減する観点では、施設利用よりも介護ヘルパーなどを利用する選択肢の方が望ましいという意見が多くありました。
一方で日本の学生が介護施設の利用を選好する理由の一つとしては日本の核家族化、人口減少が挙げられます。現在日本では、核家族化によって親子世帯間の繋がりが薄れ、自分達の世帯と親の世帯を分離して考える価値観が主流になりつつあります。また出生率低下によって兄弟姉妹などが少なくなっている実状では、子供一人当たりにかかる介護の負担が増大しています。自分達の生活や仕事もある中で、親の扶養や介護を行っていくのは難しい、子供の負担になりたくないという意見から、施設利用の意見が多くありました。一方で、昨今のニュースで耳にする施設での暴行事件などが発生する可能性を懸念する意見も見られました。

今回の交流会を通じて感じたことは、フィリピンと日本のいずれも介護に関する選択肢が限られているということです。親子それぞれの人生のライフステージに適した介護スタイルが異なることから、より柔軟な介護環境の確立のために両国とも様々な選択肢を整備していく必要があると感じました。

最後になりますが、貴重な意見をくださった技能実習生の方々、全体の進行を手伝ってくださった藤野様、龍谷大学国際文化学部のカルロス先生に御礼申し上げます。

文責:イケダゼミ3年次 豊田 達也・2年次 山崎 晃笙

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