【国際関係学部】世界経済のビジネス戦略再構築についてジェトロの特別授業が行われました!

2022.12.27

12月15日(木)、植原行洋教授担当の国際経営論Ⅱに、日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部国際経済課の伊尾木智子リサーチマネージャーをお招きし、2022年版ジェトロ世界貿易投資報告「混乱極めている世界経済で求められるビジネス戦略の再構築」についての講演会が行われました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 橋本 佳奈)

世界経済、貿易動向、サプライチェーンと国際物流の現状、最後に経済安全保障、人権、脱炭素の新たな動きの4つのパートに分けて話が進められました。難しい内容ではありましたが、統計やグラフなどを用いながら、かみ砕いてわかりやすく説明頂きました。

1つ目の世界経済では、国際機関が発表する経済成長率のグラフから先行き不透明な世界経済を紐解いていきました。私が特に面白いと感じた点は、「インフレーション」といってもその国の状況によって少し内容が異なる点です。日本は統計数値を他国と比較するとまだ楽観的ですが、ロシアによるウクライナ侵攻や中国のゼロコロナ政策により様々な国でコストプッシュ型インフレーションが起こっています。アメリカは7.4%(2022年、IMF見通し)という高いインフレーションが起こっていますが、供給よりも需要が強いことによる景気が良いインフレーションということを知り驚きました。

2つ目の貿易動向では、越境データ・フローやEC(イーコマース)市場を軸にして話が進められました。難しい単語が並んでいますが、この例としてSNSを活用した販売が挙げられていました。コロナ禍によってネットショッピングや動画サービスが拡大したことによって世界の越境データ・フローはこの4年で2.7倍にまで増加しました。今後もSNSなどのネットでのコミュニケーションによって越境EC市場は中国を中心に拡大していくと予想されています。急速なデジタル化は暮らしをより豊かに、便利にする一方でサイバー攻撃や脆弱な部分への攻撃にどのように対応するかという課題があり、セキュリティの面ではまだまだ課題がありました。

3つ目はサプライチェーンの現状についてでした。コロナ禍でサプライチェーンの脆弱さが表面化したことや自然災害がサプライチェーンを見直す動きの背景として存在しています。サプライチェーンを見直す事例としては、カントリーリスクが少ない調達先であったり、複数のサプライヤーから物資を分散調達したりという方法がとられていました。

最後は、経済安全保障、人権、脱炭素の新たな動きについての話でした。特に経済安全保障の新たな動きが印象に残っています。米中対立が深まり、アメリカは日本を経由する対中再輸出に対する規制など中国に対して厳しい態度をとっています。一方で、日本の対中輸出は増加しており、他国の対応も見つつ冷静に対処する必要があると説明がありました。

伊尾木氏の解説終了後、複数の学生が質問を投げかけており、学生の授業に対する熱意が感じられました。また、私は講義中に初めて触れる用語がいくつかありましたが、私たちの生活と繋がりを感じながら学びを広げることができ、非常に有意義な時間となりました。

講演する伊尾木氏
疑問点を質問する学生

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