【国際関係学部】学部の学びを超えて活躍する3年次 山口 愛依さんを取材しました!

2022.08.24

学部の授業以外にも活躍の場を求めて積極的に取り組む学生を紹介する本企画。

今回は、「TRY~外国人労働者・難民と共に歩む会~」に所属し、日本国内で難民支援を行う国際関係学部3年次の山口愛依さんにお話を聞きました。
国際関係学部3年次生の山口 愛依さん

「国際関係」に興味を持ったきっかけを教えてください。

高校生の時に、Twitterに流れてきた米BBCのドキュメンタリー動画を見て、衝撃を受けたことがきっかけでした。その動画は、日本の技能実習制度に焦点を当てられていました。

労災もなく、契約書に書かれていない時間外に労働を強要する等、同じ日本人に対してであれば絶対に行われていないであろう不当な扱い(非人道的な行為)がされているという現実が紹介されていました。

高校生の私は、我々の住む日本にそんな側面があったという事実にショックを受けたと同時に、社会でどんなことが起きているのか、日本だけでなく世界で今起こっていることをもっと知りたい。そして、その状況を変えるべく私にできることがないかと考え始めました。

今、注力している取り組みは何ですか?

日本の入国管理制度の在り方について疑問を持ち、大阪入国管理局内に収容されている在留資格のない方々との面会活動を続けています。

日本の難民認定率は1%未満であり、難民批准国(難民条約に加盟している国)の中で1番低い認定率です。難民申請を行ったものの不認定になった方は、送還対象になります。しかし、国際基準とかけ離れた日本の難民受け入れ政策によって、本来庇護されるべき難民の方々が強制送還のために収容されている状況に疑問を持ち、難民などの帰国できない深刻な事情を持つ方が日本で在留できるように支援や働きかけをしています。

昨年3月にスリランカ人女性のウィシュマさんが名古屋市にある入管施設収容中に亡くなるという事件がありました。収容所への面会活動をしていると、粗末な食事や不適切な医療、職員による暴行などについての話を耳にします。入管の方針が背景にあるのではないかと言われています。

日本社会で生活する者としてこの問題を自分事として捉え、大阪入管での面会や裁判傍聴などの支援活動と入管問題を多くの方に知って頂くためのイベント開催などの活動を行っている「TRY~外国人労働者・難民と共に歩む会~」のメンバーとして活動しています。

その取り組みに参加するきっかけを教えてください。

もともとは、高校生の時に見た米BBCの動画にあった技能実習生の問題について取り組みたいと思っていました。具体的には技能実習生と雇用主の間に立って技能実習生をサポートできるような活動がしたいと思っていました。しかし、大学入学に当たってそのような活動をしている団体を自力で見つけることができませんでした。そこで、Twitterで「技能実習生に対して支援を行っているサークルがあれば教えてください」とツイートしたところ、現在所属しているTRYの先輩から声を掛けて頂きました。

技能実習生の問題を中心に取り扱っているわけではありませんでしたが、説明会で入管問題を始めて知って、そこで聞いた内容の酷さに衝撃を受け、実際に私にできることはないかと思い、現在も団体に所属して継続的に活動をしています。

参加して、自身にとってプラス(成長)につながったことは?参加して、自身にとってプラス(成長)につながったことは?

特に感じることは、視野が格段に広くなったことです。

目の前にある問題と言われるものについて、それを鵜呑みにしてそのまま問題とするのではなくその背景をしっかりと捉えて自分なりの判断をしようと心がけるようになりました。

全ての問題はその場で単独発生したものではなく、その背景に多方面に絡む要因が必ずあるということを学び、1つのことを見るためにいろんな角度からの視点を持つことができるようになりました。

国際関係学部の学びとのリンクはありますか?

この活動を通して見聞きしていることは、国際関係学部の授業で学んでいることにリンクしていて、学部で学んでいることについて、今まさに実践しているように感じています。

グローバル化が進んでいる国際社会ですが、その一方で移民・難民に対する排斥運動を始めとするナショナリズムもいろんな国で起こっています。大学の授業を受けながら、受入国の市民の状況、移民・難民の状況、受け入れ国の政策を学び、日本に立ち返り、考える機会が多いです。

国際問題を考えるうえで、普段から心がけていることはなんですか?

目の前にある事をただの言葉、数字として見るのではなく、その数字の裏には人間がいて、それぞれの生活があることまで想像を膨らませることを意識しています。そうすることで自分にとって遠い話ではなく、自分事として捉えることができ、寄り添った考えを持つことができると思っています。

今の活動を通して、今後の抱負、また将来に繋がること・繋げたいことは?

グローバル化が進む中、「旅行者」としての外国人は歓迎される一方、「同居人」としての外国人は排斥されている状況があります。

この活動を通じ、同じく両親から生まれ、育ち、生きている人間であるはずなのになぜ国籍や人種、民族が違うだけで互いの扱いに差が生まれるのだろうという活動を通して湧いてきた疑問。この背景にある人々の意識について分析し、軋轢を緩衝する方法を引き続き探っていきたいと思っています。

また、就職についてはまだはっきりと思い描くものはないのですが、活動を通じて学んだ価値観を、外国人だけではなくそのほかの社会的マイノリティや差別されている問題にも活かせるようにしていきたいです。

国際関係を学ぶ学生の皆さんへ一言

国際関係学は現実に社会の中で起こっている問題について学び、考える学問です。

学ぶこと全てに関わる人々の生活があります。単なる知識としての学びではなく、どうすれば問題を解決できるか、予防出来るか、を得た知識を繋げて現実的に考えられるとより深い学びになるのではないかと思います。

大学入学前に抱いた夢や勉強する中でしてみたいと思ったことを実際の行動に移すことは、自分の世界を広げることが出来る大きな手段なのでぜひ挑戦してみて欲しいなと思います。 
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