物理科学科の齊藤准教授が粉体のアバランチ現象における摩擦の役割について学術論文を出版し、雑誌の表紙を飾りました

2021.12.23

研究成果

理学部 物理科学科の齊藤国靖准教授は、粉体のアバランチ現象に関する研究を行い、粒子間の摩擦がアバランチの統計則に強く影響することを数値シミュレーションによって明らかにしました。この研究成果は、学術誌The European Physical Journal Eの論文として掲載されると同時に、表紙を飾りました(図)。

掲載論文

著者:K. Saitoh
題目:The role of friction in statistics and scaling laws of avalanches
掲載誌:The European Physical Journal E 44, 85 (2021)

DOI: 10.1140/epje/s10189-021-00089-8
URL: The role of friction in statistics and scaling laws of avalanches | SpringerLink

研究概要

物体を連続的に変形すると塑性変形が生じ、応力やエネルギーが間欠的に降下することが知られています。この様なアバランチ現象はナノスケールの物体からマクロなスケールの物体まで普遍的に観測されており、応力降下の大きさは同一の指数を持った冪分布に従うとされています。地震もアバランチ現象の一種で、これまで多くの理論的・数値的研究が行われてきましたが、実測されるアバランチの統計則と数値計算の結果には一定の隔たりがありました。そこで本研究では、分子動力学法によって粒子系の単純せん断変形をシミュレートし、粉体など巨視的な粒子に本質的な摩擦の効果について調べました。その結果、これまでの摩擦のない数値計算では見過ごされていた小さなアバランチまで再現することができ、応力降下の大きさの分布や様々な統計則が、実測や理論的な予測に近づくことを明らかにしました。

参考

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