物理科学科の齊藤准教授が東京大学との共同研究で、粉体の音波特性に関する学術論文を出版

2021.06.23

研究成果

理学部物理科学科の齊藤国靖准教授は、東京大学の水野英如助教と粉体の音波特性に関する共同研究を行い、粒子間の粘性力が音波散乱のメカニズムに強く影響することを数値シミュレーションによって解明しました。この研究成果は、学術誌Soft Matterの論文として掲載されました。

 

掲載論文

著者:K. Saitoh and H. Mizuno
題目:Sound damping in soft particle packings: The interplay between configurational disorder and inelasticity
掲載誌:Soft Matter 17, 4204 (2021)
DOI: 10.1039/D0SM02018D
URL: https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2021/SM/D0SM02018D
 

 

研究概要

 ガラスや粉体など,粒子配置が不均一なアモルファス状態では,音波の分散関係や散乱係数が特異な性質を示すことが知られています。例えば,振動状態密度のボゾンピーク付近で音速が極小になることや,長波長におけるレイリー散乱などがあります。いずれもガラスの不均一な粒子配置に起因するものと考えられていますが,粉体の様に,粒子間に粘性力が働く場合については詳しく調べられていません。本研究では,粉体中の音波を分子動力学法でシミュレートし(図1),粘性力によるエネルギー散逸によって,音速の極小が消失し,レイリー散乱が粘弾性体の様な2乗則に遷移することを明らかにしました。

図1 分子動力学法によるシミュレーション

参考

京都産業大学 教員紹介ページ:齊藤 国靖 准教授
PAGE TOP