【国際関係学部】「平和構築論」で元文民警察隊長山﨑裕人氏による講演会「カンボジアPKOとはなんだったのか?」が開催されました!

2021.12.24

12月16日(木)、クロス京子准教授担当の「平和構築論」に、元文民警察隊長である山崎裕人氏をお招きし、カンボジアPKOについての講演会が行われました。

(学生ライター 国際関係学部3年次 橋本 佳奈)


山﨑氏は、幼いころからスマートフォンがあり、「人類史上最も世界規模でつながっているZ世代」である私たちの情報環境と、約30年前にカンボジアPKOが派遣された時代のそれとはまったく違うことを前置してから、カンボジアPKOの概要、文民警察について簡単に説明してくださいました。

その後、活動内容が明確に定められていない文民警察の隊長としての葛藤や、国連が掲げた理想通りに活動が進まなかった現場での出来事についてお話しいただきました。当時のカンボジアでは停戦合意が結ばれていましたが、カンボジアでのPKO活動は危険と隣り合わせで私たちが思っているよりはるかに難しい活動であったことがわかりました。

私にはこの講演の中で特に印象に残っていることが2つあります。1つ目は、「理想と現実のギャップ」です。PKOの派遣は、カンボジア和平という理想の実現を目的としていました。しかし現実は、派遣という実績を重視する日本政府には「熱量」が薄く、また償還金目当てで参加する隊員がいる国連PKOには質と量という点で問題がありました。現場では平和を支援するために働く文民警察官に対する攻撃がなされるなど数々の問題があったそうです。2つ目は、長年の紛争による紛争当事国国民の人心の荒廃です。山﨑氏がカンボジアに派遣された際に出会った人の中には、誇らしげに戦車に乗っている写真を見せてくる人がいたそうです。当時の人の命の軽さに驚きました。

講演会を通して、世界が複雑に絡み合う中で平和構築に向けて何ができるのかを考えさせられる良い機会となりました。また、世界が平和へと前進するために他国からの協力はどこまで踏み込んで行われるべきなのか、現実の厳しさというものを非常に痛感した90分でした。

学生に問いかける山﨑氏
質問をする学生

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