国際関係学部 クロスゼミがウトロ地区を訪問

2021.11.11

2021年11月2日(火)、国際関係学部「研究演習」(クロス京子ゼミ)の3年次生が、在日コリアンが多く住む京都府宇治市のウトロ地区を訪問しました。今回のフィールドワークでは、南山城同胞生活相談センター代表で自身も在日コリアン3世の金秀煥(きむ・すふぁん)さんからお話を伺いました。

真剣に話を聞く学生ら
ウトロ地区入り口の看板

ウトロ地区には、現在60世帯・約100名が居住されていて、その90%以上が朝鮮半島にルーツを持つ方たちです。「ウトロ」という地名は、「宇土口(うとぐち)」の「口(くち)」がいつのまにか「ロ」と読まれるようになり、「ウトロ」という呼び名が定着しました。

金さんのお話から、ウトロが「京都飛行場建設」にたずさわった朝鮮半島出身労働者の飯場であったこと、戦後差別を受けながらも民族教育を続けてきたことなど、ウトロと在日コリアンの人びとが歩んでこられた歴史を知ることができました。同時に、自分たちの身近なところに存在した在日コリアンに対する差別の実態に触れ、日韓関係を考えるうえで当事者の声を聞く必要性を痛感しました。

過去には、ウトロの土地が転売され強制退去の危機もありましたが、韓国政府と日韓の市民社会の支援によって土地の一部を買い取ることができ、2018年には市営住宅第1期棟が建設されました。年配の方が多いためアパートのドア付近は階ごとに色分けされるなど、配慮のある住環境が整備されました。このように、ウトロ地区とその支援者が困難に直面しながらも力を合わせて歩んできたことを、金さんは「ウトロが示した小さな統一」とおっしゃっていました。

ドア付近が色分けされた市営住宅
建設中の記念館

質問タイムでは、朝鮮学校卒業者の進路や、現在住民たちが必要とするサポート、ヘイトスピーチ被害に遭った時の心境などについて答えていただきました。「日本人は嫌いですか?」など直球の質問も飛びましたが、聞きづらいことこそ聞いてほしいと金さんはおっしゃっていました。質問タイムの後には、実際にウトロ地区の一部を視察することができました。

今回の訪問に向けて、ゼミでは事前学習として4つの班に分かれて研究・発表をしました。今後は、2022年4月開館予定のウトロ平和記念館の活動をサポートさせていただく予定です。平和や人権をテーマにする「元気が出る記念館にしたい」という金さんの思いをしっかりと受けとめ、ゼミで記念館の発展にどのように寄与できるのか考えていきたいと思います。

(国際関係学部3年次 濵本 麻衣)

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