今年も「祇園祭」の実習(「京都文化フィールド演習」)は、オンラインを活用してアクティブに活動中

2020.07.14

6月25日(木)5時限目、「京都文化フィールド演習A」(担当:小林 一彦 教授)の授業が、函谷鉾町の会所からオンライン中継により配信されました。
「京都文化フィールド演習」は京都文化学科ならではの特色ある科目で、多くのユニークな授業が開講されています。新入生たちにとって、いきなり京都の街中に入り込み、生きたほんものの京都文化の神髄を現場で体験することのできる、実践的な学びのプログラムとなっています。そのうち「京都文化フィールド演習A」は、公益財団法人函谷鉾保存会の協力を得て、毎年、祇園祭の実習に取り組んできました。
祇園祭は日本三大祭りの一つ。動く美術館とも称される豪華な山鉾が、市内を巡行することで知られています。創始1151年を迎える伝統ある祇園祭ですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響により、今年は山や鉾も建たず、巡行も中止となってしまいました。

当日は教員が、四条烏丸交差点付近から、京都の中心部、ビルが建ち並ぶオフィス街のようすを手持ちの小型webカメラで、まず配信しました。新入生たちは、すでに授業でDVDの動画や、スライドなどを介して祇園祭の歩行者天国のようすや、過年度の実習風景を学んでいました。それでも多くの学生が、webカメラに映し出された、たくさんの人が行き交い、車やバスがひっきりなしに通る賑やかなオフィス街の風景を目にするや、そのギャップに驚いたようでした。向かいの大きなビルは、京都の経済4団体が入る京都経済センター、四条通をはさんで広がるこのあたりが函谷鉾町になります、という説明が入ります。町内は、昼間の人口は多いのですが、あまりに中心部過ぎて開発に押され世帯数が減り続け、昭和の終わり頃に住民ゼロとなってから長い月日が経過しています。祇園祭の担い手も高齢化し、若い力が求められて、この連携がはじまったことも実感としてわかったようでした。
カメラはしめ縄の張りめぐらされている玄関から、間口の狭い函谷鉾ビルへと入りました。どこまでも奥が深い作りに、「うなぎの寝床」と呼ばれた、京町家のなごりが偲ばれます。さらに奥には、「函」の金文字の鉄扉、その向こう側には、授業で説明した24メートルの高さの鉾を貫く一本の長い真木(しんぎ)や直径2メートル近い重量500キロの木製車輪4基など、鉾の部材が大切に納められています。ここまで来て階段を上っている途中でWi-Fiが届かずに配信は一時切断、それがかえって京町家の奥行きを体感してもらうよい機会となりました。
次いで、2階にあがり、岡本 理事長、伊藤 理事、櫻井 専務理事、野澤 伝承委員長、また実習中に学生の指導を担当される中川 伝承委員ら、5名の皆様からインタビュー形式で、函谷鉾の歴史や祇園祭に対する思いなど、貴重なお話を聞かせていただきました。実は1年生の中には、昨年のオープンキャンパスで、学内で特別に披露して下さった函谷鉾のお囃子を聞いて、入学した学生も混じっています。そのことも、話題となりました。

授業後、学習支援システムからオンラインテキストで提出されたレポートには、「漠然としていた祇園祭が、リアルな目の前にあるものとして実感できました」「伝統をしっかりと守っているからこそ新しい挑戦ができるのだと思いました」「今回のライブ配信で、ますます鉾が見てみたくなりました、来年こそは祇園祭の実習がしたいです」「実習ができず残念に思っていましたが、保存会の皆さんの思いは何倍も深く、ご苦労がしのばれました」などの感想が綴られていました。
PAGE TOP