2019年度「国際文化研修(インド)」の成果報告会が開催されました!

2019.12.09

文化学部では、海外における文化研修を授業計画に含む「国際文化研修(インド)」を開講しています。

この科目は、海外研修において、語学実習(英語、ヒンディー語)とヨーガの実修を集中的に行うとともに、研修先大学の現地学生との交流や文化施設でのフィールドリサーチなどにより、現地の現状と歴史的・文化的背景について理解を深め、国際交流・国際相互理解のあり方を実践的に学ぶことを目的として開講しています。
2019年度においても、インドの文化や歴史などを学ぶ学内での事前学習を経て、8月31日からの約2週間、文化学部の志賀 浄邦 教授と宮川 康子 教授とともに、15名の学生が本学の交流協定校であるインドのヴィドヤー・プラサーラク・マンダル大学(VPM)での海外研修に参加しました。現地研修ではヨーガや英語、ヒンディー語の授業のほか、地元のお祭りへの参加やターネー市庁舎への訪問など、多彩な交流イベントが実施されました。
帰国後の成果報告会では、学生たちが実際にインドを訪れたことによって見たこと・感じたこと・学んだことなどを活き活きと報告してくれました。海外から日本を見る良い機会ともなったようです。 「国際文化研修(インド)」プログラムは、今年度以降、隔年での開講となり、次回の実施は2021年度9月の予定です。

現地での様子

現地でのプログラムは、主にヨーガの実修、ヒンディー語学修、コミュニケーションを中心とする英語の学修、現地の学生や教員との文化交流プログラムなどから成ります。ヨーガは、毎朝朝食前に大学のキャンパス内で行いました。現地で体験したヨーガは欧米的(日本的)ないわゆる美容と健康のための「ヨガ」ではなく、呼吸法や瞑想を含む本格的なものでした。約1時間~1時間半みっちりヨーガを行った後は、とても清々しい気持ちとなり、心も体もリフレッシュした状態で一日を過ごすことができました。ヨーガを専門とする先生の指導の下、全員ヨーガの基本をマスターし、最後に思い思いのポーズを取って記念撮影を行いました。ヨーガの先生からも非常に意欲的で勉強熱心な学生さんたちであるとお褒めの言葉をいただきました。
また週末には、ターネー市と同じ州にあるナーシクという都市を訪れ、仏教遺跡やヒンドゥー教寺院を見学しました。翌日は、ムンバイ市内でのフィールドワーク(インド博物館、インド門、アラビア海クルーズ、チャトラパティ・シヴァジー・マハーラージ・ヴァ—ストゥ博物館など)を行いました。その他、ターネー市庁舎やお菓子工場を訪問したり、研修の同時期に行われていたガネーシャ(象の神さま)のお祭り(ガネーシャ・チャトルティー)に参加する機会もありました。100年前に独立の志士の一人でもあるバール・ガンガーダル・ティラクらによって建てられたというガネーシャのお堂にも参拝しました。VPM大学の理事長のお宅にお邪魔したときには、現地の地方料理をふるまっていただくなど、大変な歓迎を受けました。行く先々でのインド人の盛大な歓迎ぶりに、学生さんたちはとても驚いていた様子です。彼らは研修を通して大いなる「カルチャー・ショック」を受け、自分の住む日本について、日本人について考え直すことを余儀なくされたようです。
今回参加した15名は、現地でも大いに活躍してくれました。初学者が多かったヒンディー語も自己紹介や簡単な会話なら問題なくできるレベルまで上達し、英語も「通じることが第一」をモットーに、現地の学生や先生方とのコミュニケーションを通じて、より実践的ないわば「サバイバルのための英語」をマスターすることができたと思います。ただ一方で、特に英語に関してですが、「日本でもっとしっかり勉強しておけばよかった」と自分自身の能力不足・準備不足を嘆く声も聞かれました。彼らは現地である種の「悔しさ」や「欠乏感」を感じたわけですが、そのような思いは次のステージに進むための大きなきっかけ、原動力となりえます。このような思いをバネに今後の大学生活、またその先の人生を過ごしてもらえたらと思います。
今回も2年前と同様、我々の滞在はターネー市内でも話題になっていたようで、現地の新聞社数社とラジオ局から取材を受けました。国内大手の英字新聞「ヒンドゥスタン・タイムズ」(全国紙)や「タイムズ・オブ・インディア」(全国紙)からも取材を受け、地方欄にではありますが、メヘンディ(植物由来のヘナ・タトゥー)の写真や学生のコメントとともに「日本人学生、インド文化を味わう」(ヒンドゥスタン・タイムズ)というタイトルの記事が、掲載されました。(新聞記事のコピーは現在11号館1階の掲示板に掲示しています。)
最終日の前々日には、文化交流プログラムの一環で日本文化に関するパフォーマンスを披露する機会がありました。学生全員が3つのチームに分かれ、現地でも連日打ち合わせや練習・リハーサルを行いました。最初に学生4名のチームが二人羽織りを披露した後、女子学生5名のチームが「パプリカ」や「ハッピー・サマーウェディング」など日本の歌と踊りを計3曲披露しました。それに引き続いて、男女混合の6名のチームが日本のアニメソングとよさこいソーラン節を披露しました。最後に「Zingaat」(インド映画の主題歌)がかかると、会場にいたインド人学生たちもステージになだれ込み、会場は大いに盛り上がりました。これらとは別に、日本人学生が書道や折り紙などの日本文化をインド人学生に教える時間もあったのですが、インド人学生は日本文化に興味津々の様子でした。
VPM大学のボランティア学生32名は、研修期間中、食事の仕方から目的地への誘導、買い物、道路の横断に至るまであらゆる場面で本学の学生をサポートしてくれました。その献身的なホスピタリティ(おもてなしの精神)とボランティア精神は特筆すべきもので、我々日本人も見習わなければならないと感じました。
最終日の修了証授与のセレモニーの際には、双方の学生が2週間の研修を振り返り別れを惜しみました。短い期間ではありましたが、他の機会では決して得られないような唯一無二の経験となったのではないでしょうか。参加学生たちは、「これから日本でインドの良さをもっと伝えていきたい」「今度は私たちがインドの人たちのために何かしてあげよう」という思いを胸に、インドを後にしました。
今回研修に参加した学生15名は、当初初対面同士も多かったようですが、2週間の研修を終えてみると親密度も増し、「インド」を共有するかけがえのない仲間同士となったようです。

参加学生のコメント

  • 今までの人生の中で、最も充実した2週間を過ごすことができた。
  • インドの方々と接する中で、彼らの強い愛国心(郷土愛、祖国愛)を感じた。
  • インド人が日本のことを知りたいという気持ちを強く感じた。
  • 「異文化理解」に際して、他国の文化を知るだけではなく、自国の文化についても理解を深めることが大切であることが実感できた。
  • 海外に視野を広げるだけではなく、日本のことをもっと知りたいと思った。
  • 英語をもっとしっかり勉強しておけば、より濃密なコミュニケーションがとれたのに、と後悔している。
  • 友達関係・人間関係がグローバル化し、人生もグローバル化した。
  • 今でも交流したインド人とSNSでつながって情報交換している。今回お世話になったインド人が日本に来るときまでに日本文化の勉強をして、インドで伝えられなかった日本文化を伝えられるようにしたい。
  • 言葉が通じず、もどかしい気持ちもあったが、色々な手段でコミュニケーションを取ろうとしてくれるボランティア学生の優しさが嬉しかった。
  • 海外に行くのは初めてだったが、インドの方々のおもてなし精神に圧倒された。
  • 現地に行く前は、衛生状況が悪く危険であるというイメージがあったが、実際に行ってみるとそのようなことはなかった。インドにはあたたかく親切な人が多かった。
  • 最初はインド料理にとまどったが、途中から慣れてきた。お箸やスプーンを使わず手で食べることにも次第に慣れてきた。
  • インド人学生ボランティアとの交流を通じ、インド人が自分に自信を持って生きていることを感じることができた。
  • 他人の目を気にする前に、まずは自分が楽しむことの方が大切なのだと気づいた。また自分が楽しもうとしていれば、他人の目を気にしている暇はないということをインドの友人たちから学んだ。
  • インド人はとにかく他人をほめる。ボランティアの学生から、ほんの些細なことでもほめられることが多く、自分に自信がついた。
  • たとえ10秒間でも疲れた表情をしていたり無表情でいると、周囲から「大丈夫?」と声をかけられるため、自然と笑顔でいることが多くなった。
  • インドの人々のコミュニケーションのエネルギーにはいつも圧倒され、こちらが相応の自己主張をして返さないと自分が消えてなくなりそうな気がしたが、逆に自分をさらけ出すことにあまり抵抗がなくなった。
  • 体調が悪くなって寝込んでしまうことがあったが、終始ボランティアの学生たちが献身的にお世話をしてくれた。みんなの親切心に感謝したい。
  • バスの車窓からではあったが、インド社会の格差や貧困問題などを目の当たりにして、色々考えさせられた。
  • 犬や猿、牛、豚などの動物が路上にあふれていて、動物と人間の距離が近いと感じた。
  • インドには、伝統的なものや文化と近代的なものや文化の両方が残っており、それらが融合したものもあることを知り、日本との違いを感じた。
  • 日本よりも、先生と学生の距離が近いと感じた。

担当教員のコメント

「国際文化研修(インド)」担当教員 志賀 浄邦 文化学部教授

今年は15名が参加しましたが、大きな問題やトラブルもなく、無事に現地での全日程を終えて帰国の途につくことができました。これも参加者全員が、主体的・自律的に行動してくれたおかげであると思います。
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