経済学部 平成30年度 国際経済研修(スリランカ)報告

2018.11.05

10月27日から11月5日まで18名の参加学生は、福田教授・沈准教授とともに、経済学部・専門教育科目『国際経済研修』でスリランカを訪れました。本プログラムではスリランカのコロンボ大学やケラニア大学との学生交流会を通して、南アジア地域の経済・政治・社会などを学びます。また、フィールドスタディとしてシーギリヤなどの世界遺産も見学し、現地の歴史・文化についても見聞を広めましたので報告いたします。

秋が深まりつつある日本を離れて「インド洋の真珠」と呼ばれているスリランカに旅発ちました。しかし、今年は波乱の幕開けでした。出発の飛行機が8時間も遅れ、乗り換えのタイではものの見事に15分で飛行機を乗り換えるという神業を披露しました。さらに、波乱の幕開けはこれだけではありませんでした。僕たちが飛行機の件で苦労している間、何とスリランカでは大きな政変が生じていたのです。シリセナ大統領は27日、議会の停止を宣言し、親欧米のウィクラマシンハ首相を26日に突然解任し、反欧米で中国寄りとして知られたラジャパクサ前大統領を新首相に任命したのです。
写真1: スリランカの免税店 (この写真からどんなことが読み取れますか?)
中国は世界戦略として一帯一路を掲げており、スリランカはまさに海の道の最重要地点になっています。そこで中国は日本と異なるODA (Official Development Assistance) の形 (Loan) を用いて、貸したお金を支払うことが出来ないと作った施設を中国のものにする等の行動をとっています (スリランカ政府は2017年12月、中国の援助で建設した南部ハンバントタ港を中国国有企業へ引き渡す) 。スリランカは、“借金の形”で海のインフラを奪われた形になり、中国のスリランカへの影響力が一層強まりそうな雰囲気の中での政変でしたので、今後どのように事が進むかは注目に値する出来事だと思います。
写真2: スリランカ南の海 (海をまっすぐ進むと南極に辿りつく)
学術交流として、コロンボ大学との英語での研究発表及びクイズ大会、ケラニア大学との日本語での研究発表大会、コロンボ大学とのExcursionという濃い3日間の学術活動が続きました。最初はうまく英語の脳に切り替わらず苦労しましたが、だんだん慣れてきました。コロンボ大学ではODA・Environment・Trade・FDIの4つの視点からスリランカを考察することで、スリランカという国を多面的にみることができました。慣れない環境で英語を使うということで頭が疲れましたが、少しは自信に繋がった部分もあったので、とても良い時間になりました。
そして研修後半の世界遺産巡りが始まりました。象の孤児院、キャンディ、シーギリヤロック、ダンブッラの黄金寺院という怒涛の2日間でした。世界遺産はとても良かったですが、まだ道路の整備が整っておらず、移動に凄く多くの時間を費やしたのが残念です。スリランカの可能性と限界を垣間見た感じです。
写真3: コロンボ大学との研究発表大会
写真4: ケラニア大学との研究発表大会
最後の日は、お寺と共催で日本祭りを行いました。我々は書道をスリランカの学生に教え、午後には焼き飯、そうめんを振る舞いました。また、今年は「ぺらへら祭」 (上座部仏教の僧は雨季の間外出しません。雨季が終わり、外出が可能となったことを皆で祝福するお祭り) に参加することができました。貴重な体験になりました!
写真5: ぺらへら祭
振り返ると濃厚な9日間でした。精神的にも体力的にも限界を超えた挑戦でありましたが、得たものはとても大きいと思います。人類の歴史は移動の歴史でもあります。人類はグレートジャーニーを通して様々な知恵や経験を蓄積してきたと言っても過言ではないと思います。我々は今回の研修を通してこれを体験しました。今回得た新たな「Sense of Wonder」を武器に残りの大学生活に挑戦していきたいです!
写真6: 象の孤児院
写真7: キャンディ
写真8: シーギリヤロック
写真9: シーギリヤロック
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