教員紹介山上 浩志
担当科目
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プロフィール
1992年、新潟大学自然科学研究科にて博士を取得。
1992年、東北大学教養部助手、理学部助手、理学研究科助手
1994年から2年間フンボルト奨学研究員としてドイツ・ダルムシュタット工科大学で研究に従事。
2000年 京都産業大学理学部に着任。2005年から日本原子力研究開発機構グループリーダー(客員研究員)として電子構造研究に取り組む。現在に至る。
研究内容
特別研究※(ゼミ)テーマ・内容
f電子系化合物の電子構造の理論的研究
原子軌道でf軌道の電子を含む希土類化合物やアクチノイド化合物の電子構造と磁性の統合的な研究を軸に、相対論的量子力学を基礎にしたバンド理論の構築を目指します。
※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。
宝探しのような研究です。
ランタノイド系列(原子番号57から71の元素の総称)やアクチノイド系列(原子番号89 から103 の元素の総称)の物性の研究をしています。周期律表を思い浮かべてください。周期律表は、後ろに出てくる元素ほど重くなる傾向にあります。ウランやプルトニウムなどはアクチノイド系列に含まれ、重元素といいます。
日本原子力研究開発機構、京都産業大学、東北大学、大阪大学が共同で研究を行い、世界で初めてプルトニウム化合物のフェルミ面の観測に成功しました。私が担当したのは「相対論的バンド理論」によるフェルミ面の実験結果の解釈。プルトニウムを構成している5f電子が結晶中を動き回っていることを直接示すことができた、という成果になります。
また、大型放射光施設「SPring-8」の放射光を用いて、ウラン化合物の5f電子状態の直接観測にも成功しました。バンド構造とフェルミ面を観測したのですが、これにより電子状態における統一的な理解が一気に進展し、長年の謎であったウラン化合物の超伝導構造の解明が進むと注目されています。
私はウラン、プルトニウムなどのアクチノイド化合物の電子構造と磁性に関する理論的研究を行っていますが、その基本にあるのは、これからのエネルギー問題です。原子力を安全に活用するためには、重元素化合物の性質を徹底的に解明することが重要です。ウランやプルトニウムについての基礎研究はまだまだ不十分で、分からないことがたくさんあります。また、将来の廃炉に向けた材料研究も重要です。
現在、私は日本原子力研究開発機構の放射光先端物質電子構造研究グループのリーダーを務めています。私自身の研究は理論ですが、SPring-8 の施設を使い、グループでは実験も行っています。私の研究室では、こうした実験をする機会もありますし、大型計算機を駆使して理論研究をしてもらってもいい。
世界を変える可能性がある、宝探しのような研究ができる研究室です。そういうところに興味を感じたら訪ねてきてほしいですね。