令和5年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

全学平均と比較すると学部平均はいずれの項目においても高く、本学部の教育は総じて良好であると言える。
令和5年度の学授業・カリキュラム改善に対する取り組みとしては、①DPに掲げる資質・能力の評価ツールとしての卒業成果物のあり方、また卒業成果物のアセスメント・ポリシーについて検討、②論文・レポート作成における効果的な指導方法について情報共有、③カリキュラム・マップとアセスメント・ポリシーの検証と見直しであった。学習成果実感調査においては、学修者の主観に基づく設問3の到達目標の達成度が、到達目標と指導方法の適切性を判断する材料となる。今年度は昨年度に引き続き、レポート指導を含めた卒業成果物の指導にフォーカスしていたため、ここでは「研究演習」について分析する。
研究演習ⅡとⅣの双方において平均と中央値に大きな差あるのは、研究演習Ⅱの設問5の満足度と研究演習Ⅳの設問3の到達度であった。双方とも平均値よりも中央値が高いことから、一部ゼミの数値が低いことが分かる。特に研究演習Ⅳの一部ゼミにおいて到達目標の設定が不適切であることが考えられ、見直しが必要である。研究演習Ⅱの設問4の意欲、研究演習Ⅳの設問4の意欲、設問5の満足度については、平均と中央値に大きな差が出ておらず、全体として学生の満足度が高いと言えるだろう。研究演習Ⅱ、Ⅳのいずれも全学部・全学平均よりも上回っており、学びの集大成として相対的に良好な結果を出していると考えられる。
研究演習ⅡとⅣを比較すると、双方ともゼミの平均値と中央値に大きな差はないが、研究演習Ⅳの数値は、設問2の学習時間を除き、研究演習Ⅱよりも低く出ている。他方で、春学期との比較では、3年次生においてはいずれの項目でも数値が上がっており、FDの取組の効果が表れてきたと考えられる。4年次生においては、設問4と5の中央値が春学期から低下したが、平均値と中央値が同じ値になったことから、全体として意欲や満足度は下がったが、高いレベルで平準化されたとも捉えられる。
なお、各ゼミの履修者数にばらつきがあり、また回答率にもばらつきがあるため、調査結果を単純に比較できないことに留意されたい。

2. 学部独自のFD活動についての報告 

(1)公開授業とワークショップ

  1. 公開授業:
    • 科目:発展演習(ただし授業内実施ではない)
    • 担当教員:三田貴教授
    • 実施日時/場所:2023年8月31日 SR107会議室
    • 参加人数:13名
  2. ワークショップ:
    • 参加人数:13名
    • ワークショップでの意見交換内容:発展演習科目におけるエッセイ指導方法を例として、論文課題の指導方法について議論をした。また論文指導におけるTurnitinの効果的な使用方法についても情報共有し意見交換を行った。

(2)その他研修会等

  • テーマ:「研究演習」科目における卒業成果物の指導方法
  • 概要:卒業成果物の指導の方法に関して、指導プロセスや工夫などを教員間で学びあった。
  • 実施日:2023年10月25日
  • 参加人数:13名

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • 学習成果実感調査において「到達度」や「主体的な取組み」、「満足度」が総じて高く評価されており、間接評価の値が高い点
  • レポートを含む卒業成果物の指導方法を向上させるFDの取り組みの効果が、学修者の実感として表れており、学びの質を担保する工夫がなされている点

(2)1と2において確認された改善すべき点

  • 展開科目や演習科目において、各項目の評価にばらつきが未だ散見される。学修者の主観として到達度が低い科目があり、設定された到達目標と学修者の能力に乖離があることが考えられる。

4. 次年度に向けての取り組み

  • 学修者が学びの成果を実感できるよう、学修者の能力に即した適切な到達目標になっているかどうかの検証と見直し
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