令和4年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

令和4年度秋学期の調査では、同年度春学期と比較して、調査対象科目の「主体的な取り組み」や「学びの面白さ」、「理解度」、「満足度」が総じて高く評価された。学生自身の学びの質が向上した客観的な評価と言え、昨年度の重点目標であった「授業運営の工夫と学生の主体的参加による教育効果の増進」を目指したFD活動等の成果と考えられる。他方、個別の科目群に目を向けると、複数教員で担当する基礎演習や発展演習、基幹科目では、依然としてクラス間で評価にばらつきがあった。習熟度に分かれていない科目群においてもクラス間の学力差を指摘する意見もあり、授業担当者の個々の授業運営能力・技術の向上だけでなく、各クラスの学力レベルに応じた、より柔軟な授業運営の工夫が求められる。
本学部の今年度の重点目標は、カリキュラム・マップの策定を受け、各科目の「資質・能力を適切に評価するアセスメントプランの検討・策定」とした。各授業科目で示される資質・能力の修得度に関する学修者の客観的評価の前提として、①「身に付く力(資質・能力)を知っている」と②「評価方法を知っている」必要がある。①については、昨年度同様、「身につく力を知っているか」、「知っている学生は、どの程度、身につく力がついたと思うか」を学部独自設問とし、学生が各科目の到達目標を把握しているか調査した。教授会等を通じて、授業内で当該科目の「身につく力」の周知を昨年度から引き続き依頼しており、総じて前年度よりもポイントが上昇した。②についても、学習成果実感調査の「この科目の評価方法を理解していた」とする回答数が前年度より増加した。同様に、「授業の到達目標」の到達度が60%以上との回答が前学期よりも増えており、身に付く力や評価方法についての認識向上との相関性が伺える。なお、重点科目の一つである研究演習Ⅳについては、回答数が少なくデータとしての有効性が低いため、本分析の対象としなかった。来年度は研究演習Ⅲ/Ⅳの学習成果時間調査の回答率を上げることが必須とされる。学修者本位の授業・カリキュラム改善にむけて、引き続き教授会やFDなどを通じ、資質能力、到達目標や評価方法などの周知徹底への協力が求められる。

2. 学部独自のFD活動についての報告 

(1)公開授業とワークショップ

  1. 公開授業:
    • 科目:研究演習Ⅲ・Ⅳ
    • 担当教員:全員が研究演習の概要を報告
    • 実施日時/場所:9月1日13時-14時。SR401
    • 参加人数:12名
  2. ワークショップ:
    • 参加人数:12名
    • ワークショップでの意見交換内容:参加者がそれぞれのゼミ(研究演習Ⅲ・Ⅳ)で、どのような成果物を課しているか共有し、DPの観点から学部として卒業成果物をどのように位置づけるか意見交換をした。

(2)その他研修会等

  1. 基礎演習Ⅰ/発展演習Ⅰ担当者会議
    • 概要:2022年度授業計画の確認
    • 実施日:2022年3月31日13時より SR107
    • 参加人数:9名
  2. 研修
    • テーマ:「大学の授業の設計」視聴と意見交換
    • 概要:オンデマンド講義「大学の授業の設計」を視聴。教育の質保証と学部の今後の取り組みの方向性に関する導入的位置づけ
    • 実施日:2022年5月18日
    • 参加人数:12名
  3. 基礎演習Ⅱ/発展演習Ⅱ担当者会議
    • 概要:2022年度春学期の振り返り、秋学期の授業計画の確認
    • 実施日:2022年9月9日13時より SR107
    • 参加人数:7名

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • 学習成果実感調査において「理解度」や「主体的な取組み」、「満足度」が総じて高く評価されており、間接評価の値が高い。到達目標や身に付く力を理解した回答が多いことから、学生自身が学習成果を実感している。
  • 専門科目の習熟度が高く示されている。本学部は、昨年度から効果的な授業・カリキュラム提供のためのFD活動において、意見交換や情報共有を行っており、学びの質を担保する工夫をしている。

(2)1と2において確認された改善すべき点

  • 引き続き、各科目群の評価のばらつきを軽減すべく、高い水準での平準化を目指す。同時に、学習者が学びの成果を実感できるよう、学習者の能力に即した授業運営の工夫も必要である。
  • 各科目の到達目標、資質・能力、評価方法の周知に対する理解と徹底をさらに求める。
  • 研究演習Ⅲ・Ⅳの評価方法について、学部として一定の基準策定のため、さらに意見交換を重ね、合意形成を図りたい。また間接評価のデータ確保のためにも、学習成果実感調査の回答率をあげることが求められる。

4. 次年度に向けての取り組み

  • 今年度策定した、各科目のカリキュラム・マップとアセスメント・ポリシーの検証と見直し
  • DPに掲げる資質・能力の評価ツールとしての卒業成果物のあり方のさらなる検討
  • 論文・レポート作成における効果的な指導について検討
PAGE TOP