令和3年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

秋学期の調査では、春学期と比較して、全体的に「主体的取組み」と「満足度」の評価が上がった。これは新型コロナウィルスの感染が落ち着き、本学部のほとんどの科目が対面に移行したことが影響していると思われる。とりわけ、3年次の英語必修科目が春学期と比較しても総じて高い評価を得ており、対面授業でのグループワークなど双方向的な学習活動に対する満足度が高かったことが伺える。
他方で、今年度は「講義科目(とりわけ英語講義)と研究演習における授業運営の工夫と学生の主体的参加による教育効果の増進」を重点目標とし、FD活動を行ってきたが、講義科目や研究演習における「主体的取組み」や「満足度」の評価に春学期と秋学期で大きな変化はなかった。オンラインから対面に変更した授業が混在しているにも関わらず、評価自体に大きな差が生じなかった背景には、昨年度のFDによるオンライン講義の質向上があるのかもしれないが、引き続き学習者目線の取組みへの工夫や効果的実施が求められる。研究演習Ⅰ/Ⅱについては、春学期と比べて秋学期の回答では、「知識や社会学的視点の習得」を実感し、「学びの面白さ」を感じている学生が増加した。ただし、講義科目・研究演習ともに、依然として担当教員間や各科目間で評価にばらつきがあり、高いレベルでの平準化が課題となっている。重点科目である英語講義科目については、「主体的取組み」、「知識や社会学的視点の習得」「面白さ」や「満足度」は学部平均を上回ったものの、「理解度」が低い傾向が見られた。
今学期も春学期同様、「身につく力を知っているか」、「知っている学生は、どの程度、身につく力がついたと思うか」を学部独自設問とし、学生が各科目の到達目標を把握しているか調査した。教授会等を通じて、授業内で当該科目の「身につく力」の周知を依頼したが、春学期と秋学期で学部数値の平均にほとんど変化はなかった。学生自身が学習成果を実感するためには、各科目の到達目標を把握している不可欠であるため、教授会やFDなどを通じ、身につく力や到達目標の周知徹底への一層の協力が求められる。

2.「公開授業&ワークショップ」についての成果報告

(1)公開授業とワークショップ

①公開授業:
  • 科目:英語講義科目
  • 担当教員:井口正彦、横山史生
  • 実施日時/場所:6月16日、SR401
  • 参加人数 15名
②ワークショップ:
  • 参加人数 15名
  • ワークショップでの意見交換内容: 英語講義科目でのレベルに応じた授業運営方法の工夫、講義資料の作成・提示方法の共有、学生へのフィードバック方法などについての意見交換を行った。

(2)その他研修会等

①研究会:
  • テーマ:単位取得に向けた履修指導
  • 概要:単位取得をいかに指導すべきかを、実際の学生の成績表を元にシミュレーションをしながら議論を行った。
  • 実施日:9月2日
  • 参加人数 15名
②FDサロン(意見交換会):
  • テーマ:「研究演習」に関する意見交換
  • 概要:研究演習科目に関し、授業運営方法、卒業研究の指導方法、学習・研究以外の交流やゼミ活動、進路指導の方法などについて、実践事例を共有しあうとともに課題に関して意見交換を行った。
  • 実施日:12月15日
  • 参加人数 15名

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

  • オンラインか対面かといった授業形態の違いに関わらず、「理解度」「主体的取組み」「満足度」などが総じて高く学生に評価されている点。
  • 基礎的な専門知識・理論の導入が効果的に作用しており、各科目群の専門科目で学習者の習熟度が高く示されている点。とりわけ、FD活動での意見交換や情報共有を通じて、英語講義科目を含む講義科目、研究演習において学びの質を担保する工夫がなされている点。

(2)1と2において確認された改善すべき点

  • 講義科目において、より一層学生の主体的学びを促す工夫をしていくこと。
  • 英語講義科目で、学習者の理解度を向上させる工夫をすること。
  • 学部カリキュラムにおける担当科目の位置づけを確認し、連関する科目との繋がりを意識した授業内容になっているか検証すること。
  • FD等を通じ、身につく力の授業内での周知に対する理解と徹底を求めること。

4.次年度に向けての取り組み

  • カリキュラムにおける各科目の身につく力と到達目標の確認と適切な評価方法の検証
  • 研究演習III/IVの開講をふまえ、研究演習全体の効果的な運用の検討(1、2年次の学びとの有機的繋がり)
  • DPに掲げる資質・能力の評価ツールとしての卒業成果物のあり方の検討
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