令和2年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

令和2年度の学習成果実感調査では、1年次生の学びの状況を確認するために、導入科目を対象とするとともに、コロナ禍における授業のオンライン化がもたらす影響を確認することを目的として、現代社会学科及び健康スポーツ社会学科ともに、令和元年度と同じ条件で、2年次生、3年次生以上の配当となる専門教育科目の展開科目を対象科目として選定し、その結果について確認した。
対象となった科目全般において共通する事項として、対面(面接)授業でおこなっていた令和元年度と比較し、オンライン授業が中心となった令和2年度は、春学期・秋学期ともに事前のシラバス確認、準備学習等の項目において改善していること、授業内容の理解度、満足度も、前年度と同等以上の数値となっていることが確認された。これらのことから、学生自身も不慣れなオンライン授業への対応策として、各自が授業に対する準備を、対面(面接)授業以上に実施したことが推察される。また、自由コメントからも、オンライン授業における不満等はほとんど見られず、秋学期においては、対面で実施されたときのグループディスカッションへの評価が以前よりも高くなっている点が特徴的であった。
オンライン授業への対応という点では、多くの学生が支障なく対応できたと回答し、満足度の数値も昨年度よりも僅かながらも改善していることから、当初懸念していた授業のオンライン化における教育内容や質の低下という点については、学習成果実感調査の結果からは見受けられなかった。一方で、今回の調査が、オンラインで実施されたものであることから、オンライン対応ができなかった学生の意見が反映されておらず、成績不振の学生からは、オンライン対応ができなかったという意見が春学期にあったことから、オンラインにおける授業内容の改善を意識するとともに、ICT利活用能力を含む情報リテラシー教育について、学部としての取り組みをより一層強化・検討する必要があると理解している。

2.「公開授業&ワークショップ」についての報告 

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:「入門演習B」参加者数は10数名程度。
     
  2. 「ワークショップ」:
    4月22日水曜日(オンラインで実施)46名(他学部参加あり)
    5月27日水曜日(オンラインで実施)46名(他学部参加あり)
    12月16日水曜日(オンラインで実施)34名(本学部のみ)

(2)ワークショップでの意見交換内容

4月及び5月のワークショップ(FD研修会)は、遠隔授業の円滑な運用を目的としてMicrosoft Teams🄬の利活用方法について実施した。4月のワークショップでは、Microsoft 社のスタッフの方を講師に迎え、前半はMicrosoft Teams🄬の基本的に使い方の講義を行い、後半は質疑応答とした。
2回目となる5月のワークショップでは、参加者からの質問及び事例紹介の共有を主に行い、オンライン授業の円滑な運用の一助となった。
12月のワークショップでは、「入門演習B」の公開授業における参加者からの意見報告を中心に行い、以下のような意見が紹介された。
  • 講義の復習用のスライド(全クラス共通)が細かい情報まで記載されている。授業中に全て解説するかどうか、運用が難しいのではないか。
  • 全体の組み立て例としては、講義(入門講義の復習)40分+ディスカッション30分+プレゼン10分としているが、クラス運営によっては差が生じる可能性もありそう。
  • オンラインと対面(面接)とが入り混じった形での授業運営は難しい点がある。グループディスカッションを行う場合も、オンライン出席者の人数により、対応も変わってくる。
以上のとおり、オンラインと対面の出席者が混在する授業については、例年にない授業運営の難しさがあるということが共有された。

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

授業方法がオンラインに変更されたが、学生からの評価は、対面授業と大きな差はなく、本学部のカリキュラムは着実に遂行されていることが分かった。また、本学部のカリキュラムの特徴の1つでもあるグループディスカッションを用いた授業についても、Microsoft Teams🄬やzoom🄬などを活用し、想定される教育効果が得られていることが確認できた。

(2)1と2において確認された改善すべき点

過去の学習成果実感調査の結果からは、本学部の事前・事後学習の実施割合に関する数値が低い点を課題としてきたが、令和2年度については、授業のオンライン化により、図らずも数値が改善することになった。今後、対面授業に戻っていくことから、事前・事後学習の取り組みについては、今後も継続して改善に取り組む必要がある。
また、オンライン授業を実施するにおいては、ICT利活用能力等の情報リテラシーを身に着けていない学生がいることも判明していることから、オンライン授業であっても、全ての学生が不自由なく参加できる支援を行う必要がある。

4.次年度に向けての取り組み

令和元年度から令和2年度に向けては、情報共有アプリなどを積極的に用いた新しい授業運営について検討を行うことを目標としていたが、授業のオンライン化対応により、moodle🄬やMicrosoft Teams🄬、zoom🄬などのアプリケーションを用いなければならない環境となった。これを受けて、令和3年度については、日常的にすべての学生がこれらのツールを活用し、授業が受講できるための環境整備及び支援を検討することとしたい。
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