平成30年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

平成30年度の学習成果実感調査において、1年次配当科目は社会学入門、入門演習(共に複数開講科目)を対象として、2年次配当科目は基盤科目及び資格取得対象科目を対象として実施した。
対象となった科目は春学期、秋学期ともに、出席率は他学部の選定科目と比較しても良い状況にあるが、事前・事後学習等の設問では、学習時間が全学平均よりも低い傾向が確認された。これらは、授業にアクティブラーニングの要素を取り入れていることや、配付プリントなどを使った授業運営をしていることなども影響していると考えられる。事前・事後学習の設問を詳しく見ると、教職科目については、事前・事後学習の時間が他の科目よりも実施しているとの結果が得られているが、対象科目数が少ない。よって、その理由や傾向についての十分な検証は行えていない。今後も継続的に調査対象とすることが検討される。
また、入門演習や基礎演習といった同一科目複数クラス開講の科目については、傾向として、それぞれ同じような結果が出ているが、それぞれの設問での数値にはクラス毎での差が生じており、今後も、各担当教員間での情報共有・交換を行い、授業運営の改善を行う必要があると考えている。なお、昨年度、健康スポーツ社会学科学生の社会学への取組への懸念があったが、今年度の結果においても、現代社会学科生と比較し、各項目で数値が若干下回っていることから、担当教員間での情報共有・交換時の課題としたい。
あと、2年次配当となる初めて開講する専門科目を各学科ともに選定したが、他の科目と比較しても、大きな差は見いだせない。春学期と秋学期で比較した場合は、全般的に、春学期よりも秋学期の開講科目での数値が高くなっているが、これらが科目の特性なのか、受講生の意識の向上なのかを判断するには至っていない。個別のヒアリングなども必要になってくると思われる。

2.「公開授業&ワークショップ」についての報告 

(1)参加人数

  1. 「公開授業」:入門演習A(5月28日~6月1日)、健康社会学(6月1日)
    合計15名参加
  2. 「ワークショップ」:9月19日(水)教授会終了後
    教員27名、事務職員2名参加

(2)ワークショップでの意見交換内容

①平成30年度GPS-アカデミック調査結果報告、②平成30年度春学期学習成果実感調査結果、③公開授業参加報告書を基に、本学部の学生の傾向を理解し、その上で、公開授業参加者と実施者における意見交換を実施した。
公開授業では、100名弱の講義科目と25名程度の演習型の科目が対象となっているが、講義型の科目においても、配付プリントの工夫や、授業内での学生からの質問・意見を活用するなど、学生が授業に集中しやすくなる工夫がなされているとの意見が出された。少人数でグループディスカッションなどを行う「入門演習」においても、テーマの理解促進への支援と、ディスカッションにおけるフォローが行き届いており、また、ビブリオバトルなどを導入するなど、常に学生が授業に参加しやすい環境を作っているとの意見があった。グループディスカッションを行う場合も、1グループの学生数に工夫を凝らし、常に学生が授業に参加できるように運営をしているなどの意見も出された。
それぞれのクラス運営において、学生の個性に応じた対応を工夫していることが本ワークショップにて共有できた。

3. 総括

(1)1と2において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

1年次配当科目及び2年次配当科目において、演習科目や講義科目ともに、学習成果実感調査で同じ傾向の結果が見られ、受講生の出席状況や満足度が高い状況にあることが分かった。特に入門演習や基礎演習などでは少人数クラス体制をとり、各教員がファシリテーターとして授業内のディスカッションへのフォローを行っていること、授業内での理解を深めるための配付プリントなどを用いるなどの理解促進支援、授業への参加しやすい環境づくりなどを行っていることが大きな理由であると思われる。
2年次配当科目においても、1年次配当科目と数値的には大きな差はなく、1年次のモチベーションを保ちつつ、2年次においても専門教育科目を受講している傾向が読み取れる。

(2)1と2において確認された改善すべき点

今回対象とした科目について、シラバスの利用や事前学習の点で数値が低くなっている。特に演習科目では、授業でのディスカッションや当日のプリント配付など、授業内での満足度を高める工夫を行っていることが、かえって十分な準備学習の必要性を喚起できていないようである。より深いディスカッションなどを行うためには、準備学習が大きな要因の1つであることから、準備学習の必要性を受講生にアピールすることが必要であると思われる。

4.次年度に向けての取り組み

学年進行により、専門科目の開講が増加するとともに、高学年配当科目での授業内での情報量も増加することから、授業内だけでの学びでは不十分となることが明白である。このことから、より一層、受講生に対して、当該科目を受講するモチベーションを保ち、授業内容のより深い理解を達成させるために、準備学習が取り組み易くなるような学習支援を行い、授業における理解度、満足度の改善を図る。
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