留学体験レポート 石田 翔太郎さん(プーシキン大学)

はじめに

3回生の一年間、長期でロシア連邦の首都モスクワにある国立プーシキン記念ロシア語大学に留学しました。就活に対する不安もあり、短期の半年にするか応募のギリギリまで迷いましたが、サポートしてくれる先生方の背中を押してくれる言葉もあり、長期で滞在することを決断することができました。この決断は後に正しい選択であったと確信することがてきました。サポートして下さった先生方、並びに現地でお世話になった先輩やモスクワ駐在員の方々、なにより学費や現地での生活費を工面してくれた両親に感謝しています。

なぜロシアへ?

僕が初めて外国語に触れたのは中学生の時でした。初めて授業で英語を学び、その楽しさと魅力にのめり込み、得意科目として大学入学まで学ぶことが出来ました。その頃から海外への憧れは強く、大学入学時に僕が選んだ言語はロシア語でした。ヨーロッパ言語の中でも、特に難しい言語だと言うことを聞き、それに対する挑戦と言う意志が芽生えたのが1番のキッカケだったと思います。ロシアで有名なバレエやサーカス、芸術に興味があったという訳でも無く、ロシアに対するこだわりも特にありませんでした。ただ、自分が選び、自分が学ぶ言語を本気でやると言うことをだけを胸に、ロシアへ留学しました。

ロシア語

英会話には自信があったため、「英語さえあればあまりロシア語が分からなくても何とかなる」という甘い考えは初日で叩き直されました。ロシアではロシア語以外ほぼ通じず、右も左も分からない状態で、言語もままならない生活は何とも形容し難い過酷さで、屈辱を味わう事も多々ありました。「もし、自分がもっと話せていたら」というこの悔しい気持ちこそが、最もロシア語習得に対する闘志となり、意欲を掻き立てました。それだけで無く、仲良くなった外国人の友達と話していて、自分の伝えたい事が伝えられない、もっと語り合って仲良くなりたい、細かい所まで内容が伝わって欲しい、という思いが、より一段とロシア語を上達させるキーでした。

モスクワでの生活

到着したのは3月の末でしたがまだまだ気温は低く、雪も積もっていました。最初はスーパーの場所、お金のおろし方等生活の基本となる事すらも全く分からなく、ましてや僕は海外旅行も行った事が無く、この留学が初めて海外経験だったので、戸惑いの連続でした。4月、5月になると、冬にも終わりが差し掛かり、徐々に夏ムードへ。モスクワの夏は過ごし易く、街中を散歩し、日本で学んだワシリー寺院、クレムリンなどの観光名所を実際に自分の目で見た時には感動しました。 さらに、これ無くして僕のロシア留学を語れないのが「サッカー」です。毎週土曜日の朝8時~10時、日本の企業からモスクワに駐在されている社会人の方々のチームに参加させて頂き、主にルジニキスタジアムという有名なスタジアムのサブグラウンドでプレーしました。ただただ楽しく毎回ボールを蹴っているのでは無く、しっかりとした目標を持ち、サッカーに本気で取り組む部活の様なチームで、時には辛い練習もありましたが、最後までやり抜くことが出来たのもチームの皆様が親切にいつも迎え入れてくれたからです。サッカーだけでは無く、社会人としての振る舞いや、仕事のことなど、生きていく上で大切なことをこのチームでたくさん学ばせて頂くことが出来ました。 この経験も、ロシア留学で得た、ロシア語以外の面での思いもよらぬ素晴らしい特典でした。
聖ワシリー寺院、赤の広場にて
冬の学校

寮での生活

部屋からの雪景色
誰かと共同生活をすることも、自分にとっては初めての経験でした。寮はとても綺麗とは言い難く、最初はこんな所で生活するのは無理だと思いました。初日に夜中まで掃除をし、ようやく衛生的に許容出来るくらいにまでなりましたが、日本とかけ離れている点が余りにも多く、慣れるまで苦労しました。しかし寮で仲良くなった友達はこんな厳しい環境を共に切り抜け、少しでも自分たちで楽しい生活にしようと切磋琢磨してきた仲間であり、とても大切な存在です。授業の間の昼食をとったり、夕食は自分たちで料理をし、楽しく一緒に食べた思い出は忘れるに忘れられないものとなりました。

最後に

ロシア語だけに限らず、言語を学ぶということは、それだけ仲良くなれる友達の可能性を広げるということだと思います。つまずくことや、嫌になることもあると思いますが、「誰かに何かを伝えたい」という意思こそが、何よりのやりがいであり、それを達成した時の喜びです。僕がこの留学中得たある素晴らしい言葉があります。「やらない理由を見つけるのは簡単」気付いてないようで、知らず知らずの内に「できない」理由を言って「やらない」方向へと逃げるという事はありがちです。自分に強い意志と忍耐を持ち、目標へ突き進む事がどれだけ難しく、またそれがとても大事だという事を実感しました。海外留学を通して得られるものは、決して言語だけではありません。20歳という節目の時期に、この様な経験が出来たことは、将来への大きなステップになったと確信しています。
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