留学体験記が届きました
(浅川 華帆さん ウィーン大学)

私は2018年2月から2018年6月の約半年間、オーストリアの首都であるウィーンに留学していました。ウィーンといえば、音楽や芸術の都として有名で、偉大な音楽家モーツァルトやベートーベンが活躍した場所でもあります。観光都市というイメージが強いかもしれませんが、実際に住んでみると治安が良く物価もそれほど高くなく、とても住みやすい街でした。
以前から留学に興味はあったものの、手続きは大変だし、留学をして何かを見出せる保証もないし、と決めかねていました。そんな中、私が留学に踏み切れたのは、友人の海外ボランティアの話を聞いてからでした。年齢や国を超えて集まった仲間たちが、いろんな意見をぶつけ合い、新しい知識が増える喜びを友人は毎日のように私に語ってくれました。私も自分の中に新しい常識を増やしたい、何もしないまま4年間を終えたくない、後悔したくない、と考えているうちに、留学に行く決心がつきました。
しかし、現地に知り合いがいるわけでもなく、ドイツ語が堪能に話せるわけでもなく、最初の2週間は心細い日々が続きました。そんな時は気分転換に街中をぶらぶら歩いたり、美味しいものを食べたり、観光客になりきってウィーンの街を楽しみました。ウィーンには魅力的なものがあふれています。そうやってウィーンの暖かな空気に触れていくうちに私はこの街の虜になっていました。

ドイツ語の授業は、ペルー、中国、アメリカ、トルコ、ラトビア、ロシア、コロンビア、セルビア、アルバニア出身の、年齢もウィーンに来た理由も違うクラスメイトが集まり、非常に国際色豊かでした。ある人はウィーンで生活していくために、ある人はウィーンで働くために、と自分の将来のために語学を学んでいるクラスメイトが多い中、私のように自分の知識を増やすためにドイツ語を学んでいる人は少なく、自分は恵まれた環境にいるのだと強く感じました。はじめは怖気付いてなかなかクラスメイトと話すことができませんでしたが、徐々に話す機会も増え、お互いの家族のことや、国のこと、ちょうどサッカーW杯が開催されていたので、サッカーの話で盛り上がりました。国ごとにサッカーに対する熱量も違い、特にコロンビアからのクラスメイトは、試合がある日には必ずコロンビアのユニフォームを着て授業を受けていました。一緒にサッカーの試合を見に行った時の熱狂ぶりには驚きました。
国が違えば、話す言葉も文化も常識も違います。それでも、徐々に同じクラスで学ぶ「仲間」という意識が生まれ、お互いに刺激し合いながら学ぶことができたのは私にとって価値あるものになったと思います。
今回留学を決めた時期も遅く、情報不足で現地に着くまでは不安でいっぱいでしたが、今では留学に行くことを決めてよかったと感じています。私は頑固で一度決めてしまったら最後まで突っ走る、諦めの悪い性格ですが、今回はそれがとても役に立ちました。もちろんドイツ語漬けの毎日に嫌気がさす時もありましたが、新しい語彙が増えて相手に伝わった時のあの感動は、他に変えられないものがあります。ずっと留学に行きたいと思い続け、無事実現できたことは自分の自信につながりました。わずか半年の経験ですが、人生で一番価値ある時間を過ごせたように思います。
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