ケルン大学への留学を振り返って

親交の深い友人
2016年2月から2017年2月までの1年間、私はドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州のケルン大学に留学していました。
ドイツではベルリン、ハンブルク、ミュンヘンに次いで4番目に大きな都市であるケルンは、ドイツの中でも留学生や移民の多い国際色豊かな街の1つです。実際私が参加していた留学生向けのドイツ語授業では、ヨーロッパの国を中心に様々な国の留学生が授業を受けていました。
京都産業大学には、多くの協定校が存在しますが、留学を今振り返ってもケルンで1年間を過ごせたことは幸せだったと感じます。
まず、学業の面でケルン大学への留学を振り返ると、「ゼミへの参加」と「ケルン大学日本学科生との交流」、私生活の面では、「国際色の豊かさ」と「学生証」の存在が大きかったと感じます。
今回の留学体験記では、有意義な留学だったと振り返る上で大きな要因とも言えるであろう上記の4つの点を中心に書きたいと思います。

「ゼミへの参加」

私が京都産業大学で「メディア・コミュニケーション専攻」に所属して学んでいるということもあり、留学生向けのドイツ語コースとは別に、ケルン大学人間科学部で開講されたドイツ人学生向けの音響を中心に扱うゼミ2つ(Gestaltung auditiver Medien, Musik und Medien)に参加していました。
身体から発される音など様々なテーマに沿った音源収集、クラス内で与えられた共通の音源を使って学生が各々新たな曲を制作など、授業内容は学生が主体となって音の収録・編集を行い、その制作作品について教員・学生達がディスカッションするというのが、受講したゼミの活動内容でした。
ゼミは留学前に日本で受けていた授業内容に似たものでしたが、学生が主体となり自由な発想で音声編集を行う授業風景に、「課されたテーマに対して能動的に取り組む姿勢」を肌で実感し、後述する言語学習も含め、現在に至るまでの学習に対する考え方の礎となっています。

「ケルン大学日本学科」

ケルン大学には日本学科があり、ドイツ滞在中も日本文化を身近に感じる環境がありました。日本学科に所属しているドイツ人学生との交友関係を築けたことは、留学を「充実した滞在」と振り返ることのできる大きな要因の1つとなっていると感じます。
ケルン大学日本学科には日本への留学経験のある学生も多く在籍し、彼等の豊富な日本語のボキャブラリーや表現力と学習意欲の高さからは、同じく外国語習得を目指す学生の1人として多くの刺激を受けました。
意識的に彼等との時間を多くしたことで、語学力の向上も明確に実感することができ、帰国後に受験したGoethe Institut(ドイツ文化センターで実施しているドイツ語検定試験)では、到達目標であったB2レベルにも合格しました。来年春にはC1レベル試験の受験を考えていますが、今でも交友のあるドイツ人の友人達に「語学試験の合格報告をする(もしくは彼等の報告を聞く)」ことが楽しみの1つとなっており、そのことからも彼等の存在が学習の大きな糧となっていると実感します。

「国際色の豊かさ」

ケルンの夜景
ケルンはドイツ西部の街で、オランダ・ベルギー・ルクセンブルク国境付近に位置しています。「授業終わりに日帰りでアムステルダム行ってきた」という会話を耳にするほどの距離感覚です。そのため、旅行の際に交通面の利便性が高いことは当然ですが、街の位置が関係しているのか、少し歩けばあちこちでドイツ語でも英語でもない言語が聞こえてきます。実際私のドイツ語コースにも、おそらく10を超える出身国の学生が参加していました。このような環境が「良かった」と思える理由が最も顕著に表れるのは、クラス内でのディスカッションタイムでした。授業中は基本的に質疑のタイミングは自由で、ある意味授業時間のほとんどがディスカッションタイムのようなものでしたが、彼等の発言に文化的背景や国民性を感じることが多々ありました。
ここではあえて他の国には触れずに、私が「日本の文化と常識の中で生きていた」と実感したエピソードを紹介します。その日のディスカッションテーマは「捕鯨問題」についてでした。捕鯨についてどう思うか、というテーマになった瞬間、彼等の目線は日本人である私に集中。日本が捕鯨を始めるに至った歴史を説明しても、彼等を説得することは最後までできず、自身の文化背景を理解してもらえないまま、まるで私が非常識な行動をしているかのように否定されました(もちろん議論テーマとして反対意見を言われているだけで、みんな仲良しです)。
文化や常識が違う人と接し、相手の文化理解や知識を持つことがどれほど重要であるのかを学ぶ上で、国際色の豊かな環境の中で生活できたことは貴重な体験であったように感じます。

「学生証」

旅行で訪れたブレーメン
私は留学中、学生寮に住んでいました。京都産業大学からケルン大学への留学生のほとんどはEfferenという学生寮が多く集まるケルン市の隣町で生活していましたが、私はケルン体育大学の学生寮で生活していました。部屋の窓からは、寮の裏にあるサッカー・ブンデスリーガ1部FC.Kölnのホームスタジアム(Rhein-Energie-Stadion)が見え、スタジアムからの歓声を聞くことが週末の楽しみになっていました。スタジアムの年間シートを購入すべきだったかな、と少し後悔していますが、結局このRhein-Energie-Stadionでは1度しか試合観戦をすることが出来ませんでした。留学中は「ドルトムント—バイエルンミュンヘン」(DFLスーパーカップ)、「ドイツ代表—ハンガリー代表」(EURO前国際親善試合)、「バイエルンミュンヘン—マンチェスターシティー」(親善試合)などの試合を観戦することができました。
前置きが長くなりましたが、サッカー好きの私にとってケルン大学の学生として留学できたメリットの1つに「ケルン大学学生証」が挙げられます。実はこの学生証を提示するだけで、ノルトライン=ヴェストファーレン州内のバス・電車(特急除く)が乗り放題になります。バイエルンミュンヘンを除くブンデスリーガ強豪クラブのほとんどがノルトライン=ヴェストファーレン州に集中しているため、試合観戦や練習見学、そしてもちろん旅行をすることがとても身近になりました。
留学中、国外に1人旅も経験しましたが、それも学生証を使って1人でスタジアムを訪れていたことが大きく影響していると思います。出逢いやトラブルも含め、1人旅から得られる経験の大きさを実感している今、私をより行動力のあるフットワークの軽い性格に変えてくれた学生証の存在は大きかったように思います。
上記した4つの点が全てではありませんが、留学を経て私の成長を促してくれたポイントであることは確かです。必ずしも全ての人にとって「留学」という経験が重要というわけではないと思いますが、変化や成長を実感しやすい環境の中で生活するチャンスを頂けたことを幸せに思うと同時に感謝しています。
日本では感じることのないような辛さもあるかもしれませんが、それも含めて経験だと思うので、留学を考えている人は是非前向きに頑張ってください!!
少しでもこの留学体験記がこれから留学を考えている方の参考になれば幸いです。
Viel Erfolg:)

留学期間:2016/2-2017/2

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