留学体験記が届きました増田 智太さん(ハイデルベルク大学)

2016年3月、私は大学の1年次終了とともに休学してドイツに留学しました。実はこれはあまり例がなく、2年次秋学期又は、2年次終了時に留学をするのが一般的だと思います。それにも関わらず、私にドイツ留学を急がせたのには、もちろん十分な理由がありました。
私は大学入学前から留学に興味がありました。入学直後、国際交流サークルの新入生歓迎の花見に参加しました。そこにはドイツを含めた多くの留学生も参加されていました。その場にいた当時4年次生のドイツ語学科の先輩が、ドイツ語で会話している様子をみる機会がありました。当時の私は、ドイツ語での簡単な挨拶さえまだ満足に話せかったのですが、それでもその先輩が話しているドイツ語がカタコトであり、上手く話せていないことがはっきりと分かりました。大学入学前の年に1年間ドイツで暮らしていたという同期の友人との差は一目瞭然で、4年近くも座学に励んだ先輩と、1年間現地で学んだ友人との差を見て非常に驚きました。さらに自分は、すでに英語を6年近く勉強したにも関わらず、流暢に会話をする事が出来ない自分自身の状況も考え、何か大きな変化が必要だと感じ、早期の留学を決心するに至りました。

ドイツには多くの素晴らしいドイツ語学習環境がある中で、一体自分がどのように行先を絞ったのかという質問を多く受けます。留学はドイツのどこにでも、もっと言えば他の国々でも、自由に選択することが可能です。だから皆さんも最初はどこがベストなのか迷うと思います。そのような中、私はここしかないとハイデルベルクに決めました。もちろんハイデルベルクに決めたのには、大きな理由があります。治安が良い、学生都市である、観光名所としても有名である、など様々な理由がありますが、もっとも決定的な要因は、ハイデルベルク大学にはJapanologie(日本学科)があり、そして私が通うことになる語学学校にも日本語コースがありました。つまり、日本や日本語に興味がある人たちがハイデルベルクに多く集まると考えたのです。そこから多くの友人やTandempartner(語学をお互い教え合うパートナー)も簡単に作ることができます。実際現地で体感した身としては、日本語を学びたいドイツ人の割合に比べて、日本人の数は少ないので、一度Tandempartner募集の張り紙を掲載すると、大量に連絡が来ます。言い方は良くありませんが、こちらが選ぶ側なので、気の合うTandempartnerを選ぶことができます。自分が留学したその場所で何ができるのか、自分の求めていることが本当にできる場所をあらかじめしっかりと調べることが重要です。
もし、ドイツへの留学で迷っている人がいるなら、私は自信を持ってハイデルベルクを勧めます。ドイツ各地も観光しましたが、贔屓目なしにここが1番だと感じることができました。

私はハイデルベルクで1年間F+Uという語学学校に通っていました。語学学校に通うメリットとしては、さまざまな職種で、さまざまな年齢の、さまざまな国の人たちに出会えることです。ドイツは、アメリカに次いで移民が多いといわれましたが、本当にたくさんの人に会いました。今マスコミで話題になっている難民の方も多く、年齢も1桁の子供達から70越えの方とも同じ教室で学びましたので、国によっての物の考え方、勉強に対する姿勢などを知るには、本当に良い環境だったと思います。
先生により授業方法もかなり違い、天気のいい日にはカフェや川辺などでの授業もありました。昼過ぎには授業が終わるため、仲の良いクラスは授業後に一緒に勉強したり、パーテイーをしたりします。私のクラスでは年末に先生の家に招待されたりもしました。
私は、ハイデルベルク滞在中に語学学校が提供している寮とホームステイ先のどちらも体験することができました。寮は安いカテゴリーになればなるほど、共有スペースが増えます。多文化交流を望み、あえて安いカテゴリーを選ぶひとたちもいますが、私は、少し賭けの要素が強くなると思います。というのは、実際のところ、特に交流を望んでいない隣人もいますし、語学学校所有の寮ということで、もちろんドイツ人ではないので、基本的にはドイツ語をうまく話せない人が多いです。その場合、意思疎通の基本的な手段は、英語になるのですが、それも話せない人も少なからずいます。
一方、ホームステイは、ドイツの文化、生活を知る上で非常に良い手段だと思います。最近ではトルコ人の方がホームステイ先を提供している場合が多くなってきているのですが、トルコ人の方々は親日家の方も多く、日本の文化に興味がある方が多かったです。ドイツ人の生活を知りたいという点では、多少難がありますが、語学力アップや食生活などは申し分なく、トルコの文化も同時に学べて非常に良いと思います。私は実際、ドイツ人の家庭もトルコ人の家庭も体験しましたが、どちらもとても良い体験をさせてもらいました。

ところで、ここまでこの体験記を読まれた方の中には、疑問に感じる方がいるかもしれません。タイトルの“Working Holiday”を見て、「ドイツで働きながら、ドイツ語の勉強をした経験」を期待されていたのに、「仕事」の話が出てこないからです。
実は、Working Holiday のビザでは、働かなくてもドイツに滞在することが可能です。本来、Working Holidayで滞在している人は、生活費のため、もしくは自分の語学力育成のために働くのですが、私は、前者に関しては高校のころから留学を計画していた上に奨学金制度も利用したため、現地で働く必要性はありませんでした。後者に関しては、留学当初にドイツのカフェやレストランで働くほどの語学力はありませんでしたし、初めはドイツ語学習に集中していました。留学も終盤になり、そろそろ仕事にチャレンジしようと考えたとき、ハイデルベルクにある日本人がよく働いている店が潰れてしまい、その機会を失ってしまいました。1、2週間ほど友人の親戚の日本人の家庭(夫がドイツ人)で、幼稚園に通う子供の子守り兼家庭教師をしました。しかし、仕事という関係ではなく、ほとんどその家庭にお世話してもらったという感じだったため、残念ながら仕事に関してはあまり記述することができません。インターネットを通じて仕事を探す方法もありましたが、ファミリーと触れ合う事を優先しました。

最後に私の個人的な考えではありますが、留学はするべきだと思います。特に早期からの留学がかなりオススメです。もちろん早く留学すれば、その分苦労も並大抵のことではありません。しかし、日本でいくら勉強をしようとも、もし自分のレベルを本当に上げたいのであれば、日本での勉強に加えて現地に赴くことは必須だと思います。それに語学というのは、面白いことに自分の知識が増えれば増えるほど、勉強の手段も同時に増えて行きます。ここから新たに興味を持つことなどが必ず生まれてきます。
Working Holidayはその名の通り、「働くための休日」であり、何をしても良いのです。これは意欲が強い方にはまさにうってつけのプランであり、メリットなのですが、同時にサボるということも自由にできます。強制するものは何もありません。だから本当に意欲がある方でないと、モチベーションが続かないと思います。実際のところ1年間の滞在を予定していたが、挫折して半年で帰る人や、あまり学校に来なくなるような人も少なからずいました。何か自らに目標を決めるなど具体的な計画を大事にしてください。もちろん休日を楽しむことも忘れずに!


留学期間:2016/3-2017/3
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