令和3年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」
1.「学習成果実感調査」についての分析結果
令和3年度も前年度に引き続き、経済学部の授業に関して以下の5つの側面から分析を行った。
(1)全学との比較
(2)学部内の状況
(3)経済学入門科目(経済学入門Ⅰ(必修)、経済学入門Ⅱ(選択必修))
(4)初年次教育導入科目(入門セミナー、データ処理セミナー):
(5)今年度から導入される新4コースの選択必修科目
(1)については全学と比較しても大きな違いは見つからなかった。具体的には、授業参加状況は良好(12回以上参加した学生の割合は春93%、秋90%)で、多くの学生がシラバスを事前確認している(春94%、秋93%)。しかしながら、準備時間については多くの学生は1時間以内(春秋とも1時間未満が約50%)で推奨される4時間と比べるとかなり短い。(2)については、昨年度に続いて一部の授業がオンライン対応となったことで、対面形式で見られた授業開始終了時間の徹底、板書の質、私語の対応などに関する対面時のクレームはなくなったことは言うまでもないが、昨年度散見されたオンライン授業に関するクレームもほとんどなくなった。また、録画配信については75%の学生が希望している。教員の授業対応についての評価は概ね高かった。(3)の学部教育の基礎となる経済学入門Ⅰ&Ⅱ(今年度は2年目)については両方とも変更前のミクロ経済学入門・マクロ経済学入門と比べると今年度も学生の授業満足度は上昇し、このプログラム変更が効果的であったことを示唆している。
(4)については、2科目とも少人数・対面授業であることから全科目平均より満足度は高かった。入門セミナーでは担当教員や他学生とのコミュニケーションが取れたことやディスカッションが出来たことを評価する学生が多かった。一方で、データ処理セミナーではパソコン一般やエクセルの使い方が修得できたことの満足度が特に高いことが確認できた。初年次教育については期待された効果が得られたと言って良いだろう。
(5)では、昨年度から導入された新4コースの科目群について学生から見たコース間の主観的評価を比較してみたが、明らかなコース間の差異は見つからずバランスの取れたコース設定になっているとの結論に達した。
来年度以降も、引き続き上記の5つの側面を重視した分析を行う(特に、(3)、(4)、(5)については導入後間もないことから)予定である。
2.「公開授業&ワークショップ」についての報告
- 「公開授業」:
・科目 経済学入門Ⅱ(対面・遠隔併用授業)
・担当教員 加茂知幸先生
・実施日時/場所 11月24日(水)1時限 514教室
・参加人数 教職員9名、履修生20名程度 - 「ワークショップ」:
・実施日時/場所 12月1日(水)12:30、オンライン(Zoom)
・参加人数 教職員10名
ワークショップでの意見交換内容
- 講義用のPPTスライドの完成度が高く、口頭の説明とともに学生にわかりやすい内容で、とても参考となった。
- 簡単な前回授業の復習は学生の理解度を高めている。
- 参加学生は例年に比して少なかった。大きな理由は対面・遠隔授業の併用にあり、学生の授業参加のインセンティブが小さくなったものと考えられる。
- 登録者数で教室が割り当てられるため教室には余裕があった。
3. 総括
(1)1. と2. において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所
- 入門セミナーやデータ処理セミナーなどの1年次における少人数授業は、大規模学部における新入生の経済学学習および大学生活への順応性を高める効果を持っていることが確認された。
- ミクロ経済学&マクロ経済学入門から経済学入門Ⅰ&Ⅱへのプログラム変更が学生の満足度を高めたことは経済学基礎修得の効果を高めることにつながっていると考えられる。
- 3コース制から4コース制への移行は各コースのバランスを維持できている。
(2)1. と2. において確認された改善すべき点
- (3)、(4)、(5)については導入後間もないことから今後も検証を継続する予定である。
- 多人数授業におけるオンライン方式がコロナ禍収束後も継続されるのであれば、これらの授業の実感調査実施方法を再検討する必要がある。