令和3年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「年間報告書」

1.「学習成果実感調査」についての分析結果

中間報告書にも記載したが、令和3年度は新学科への移行3年目にあたり、令和2年度から、初年次配当科目の導入科目とそれ以外の科目に分けて、調査を実施してきた。令和3度春学期は昨年に引き続きオンライン授業、秋学期から対面授業の増加という事情を経て、いくつかの項目で一昨年、昨年度との違いがみられる。
まず導入科目以外の結果(プログラム平均)については、「シラバスを確認した」(設問2-1)のスコアが一昨年、昨年に比較して上がっていることが確認できる(4.07→4.75→4.89)。これは昨年度にシラバスの中身を変更した科目が多く、履修者が内容をきちんと確認している様子を表していると考えられる。「準備学習の平均時間」(設問3)も、同様に大幅なスコアの上昇が見られる(2.13→2.64→2.81)。他方、「履修に満足している」(設問9)、「身に付く力が付いたと思う」(設問10)についても、わずかながら改善傾向が見られた(3.96→4.01→4.09、3.75→3.76→3.89)。履修に満足・身に付く力ともに、今後さらに、各科目でどんな力が身に付くのかを学生に意識させることを継続させていきたい。
他方、導入科目の結果(プログラム平均)に関しては、「シラバスを確認した」(設問2-1)のスコアが大幅に上がっている(3.77→4.60→4.89)。大学に入学したばかりの1年生は、本来シラバスを読んで履修登録することに慣れていない。また昨年度はシラバス改訂が多かったものの、コロナ禍という特殊状況において、履修者が丁寧にシラバス確認を行っている傾向の定着がうかがえる。同様に、「準備学習の平均時間」(設問3)、一昨年度はポイントのスコア上昇があったものの、今年度はやや後退した(2.02→3.02→2.81)。初年次から「準備学習の必要性」(設問6)を感じている傾向が引き続き今年度も見られる(3.52→3.76→3.90)。「履修に満足している」(設問8)、「身に付く力が付いたと思う」(設問10)のスコアも改善傾向が続いており(3.98→3.97→4.09、3.71→3.70→3.89)、引き続き努力したい。「リーディング・ドメインの選択に役立ったと思う」(設問9)についても、(3.82→3.95→4.08)に上昇している。導入科目やベーシック・セミナーなどで、リーディング・ドメインの考え方や選択方法についての周知に取り組んだ結果と考えられ、今後さらに改善に取り組みたい。

2. 「公開授業&ワークショップ」についての報告 

令和3年度には学部授業・カリキュラム改善に向け、春と秋にそれぞれ公開授業とワークショップを行った。
①公開授業:
・科目:「マネジメント・リテラシーI」(遠隔)
・担当教員:宮永先生
・実施日時/場所:場所:6/23(水)~6/30(水)・ストリーム利用によるオンライン開催
・参加人数:23名(職員・学生が参加した場合は内訳を記載してください)

①ワークショップ:
・実施日時/場所:6/30(水)15:00~16:00
・参加人数:8名(職員・学生が参加した場合は内訳を記載してください)
・ワークショップでの意見交換内容:オンライン下でのスムーズな授業運営について。学生を飽きさせない工夫。あと公開授業を担当された宮永先生のオンライン講義における授業における話し方のテンポ、語り掛ける口調が優しく、耳に馴染むとの意見などが出た。

②公開授業:
・科目:「マーケティング概論」(遠隔)
・担当教員:涌田先生
・実施日時/場所:場所:11/8(月)~11/12(金)・ストリーム利用によるオンライン開催
・参加人数:5名(職員・学生が参加した場合は内訳を記載してください)

②ワークショップ:
・実施日時/場所※公開授業と日時/場所が異なる場合のみ記載してください
・参加人数:5名(職員・学生が参加した場合は内訳を記載してください)
・ワークショップでの意見交換内容:涌田先生の公開授業を手掛かりに、春学期に引き続き、オンライン下でのスムーズな授業運営について話し合われた。またオンライン・対面授業双方における、履修者を飽きさせない仕組みについて、参加者による多くの意見が出た。また手書きパッド等利用の工夫についても質問が出た。

3.総括

(1)1.と2.において確認された、本学部の授業・カリキュラムの長所

総じていうと、令和2年度に引き続き、オンライン授業への対応という新たな課題に対して、教員も学生も不慣れな中で、何とか乗り切ったといえる結果になった。
令和3年度が新学科移行への3年目にあたり、引き続きカリキュラム改革のさなかであった。これに加え、引き続きコロナ禍による急速なオンライン授業の必要性に迫られてくるという差し迫った事情が加わった。こうした困難を伴う中ではあったが、上記で紹介した「学習成果実感調査」分析結果を鑑みると、導入科目、導入科目以外いずれもおおむねアンケート結果が順調であった。引き続き授業、カリキュラムの改善に取り組みたい。

コロナ禍という困難な時期にあっても、すでに紹介した公開授業とワークショップが予定通り実施され、教員間で授業改善に向けた具体的試みが堅実に継続されていることも、本学部の大きな長所といえる。

(2)1. と2. において確認された改善すべき点

以上で述べてきたように、本学部におけるカリキュラム・授業改善の試みは比較的順調である。こうしたポジティブな動きを停止させないことが大切である。
経営学部の学科改組は令和4年度において4年目の完成年度を迎えることになる。これまでのところは手堅い新学科移行であったといえるが、次年度から対面授業の本格的復活をはじめ、さらなるオンライン授業活用方法の洗練など、今後改めて準備すべき課題は存在する。それらに抜かりなく対応し、さらに魅力的な経営学部を形成することが必要であると思われる。

4. 次年度に向けての取り組み

本学部では、例年「公開授業」及び「ワークショップ」を春学期と秋学期に実施してきた。引き続き、これらは計画通りに行われ、効果を上げることが求められる。
また次年度については、完成年度を迎える新学科体制の総括が求められる。同時に、近年のオンライン授業拡大傾向から、改めて対面授業の本格的復活・再洗練化も要求される。教育FDを通じて、幅広く教員間での情報共有や議論を行い、各自の授業改善につなげていく予定である。
最後に、経営学部では大学教育における各教員の研究能力向上と、その切磋琢磨が重要であると考える。これに鑑み、また学部教員間相互の研究活動を認識するために、教授会前のお昼休みに研究FD・パワーランチを継続する。
昨年の秋学期以降に行われてきたパワーランチは、以下の通りである。

第31回 2021年9月22日
報告者:舟津昌平
テーマ:組織における多元性のマネジメント
参加者数:25名

第32回 2021年11月17日
報告者:松下真也
テーマ:簿記の管理機能の研究
参加者数:13名

第33回 2021年12月15日
報告者:行待三輪
テーマ:私の研究活動の出発点と棚卸資産に関する主な論点
参加者数:13名

第34回 2022年2月24
報告者:福冨言
テーマ:ツカエナイ費用〜マーケティングと科研の話
参加者数:24名

また令和3年度には大学院教育FD意見交換会も実施された。これはもちろん大学院教育を主なテーマとしている。ただし学部教育と大学院教育は互いに無関係な別個のものではなく、むしろ魅力的な学部教育の行きつく先に大学院教育があることを考慮すると、両者の有機的相関関係、それによる相乗効果は無視できない。学部・大学院の枠にとらわれないFD活動が行われたことも、ここでは本学部の長所と考える。厳密な意味での学部FD活動には該当しないが、ここに念のためこの意見交換会における概要も記しておく。

第1回 大学院教育FD意見交換会(2021年10月27日)
報告者:佐々木利廣
テーマ:大学院マネジメント研究科の前と後で感じること
参加者数:26名

 

PAGE TOP