京都産業大学 キャンパスマガジン サギタリウス VOL.47
Voice of Sagittarius
ライフワークとして消費者法の諸問題に取り組む。 画像
ライフワークとして消費者法の諸問題に取り組む。
現役の弁護士として活躍するとともに、本学法科大学院の教授として後進の指導に当たる野々山先生。中でもライフワークとして取り組んでいるのが、消費者法・消費者問題だ。「消費者法のベースとなっている民法や民事訴訟法の根底にあるのが、〈人はみな平等である〉という考えです。しかしながら、実際の社会では事業者と消費者との間には、知識や組織力、財政力などの面で大きな差があり、それが消費者問題を引き起こす要因となっています」。

例えば、マンションの賃貸契約や流通している商品の知識などに関しては、提供者側は圧倒的に優位な立場で、そこから消費者が知らないことを隠したり、誤った情報を与えたり、不利な契約を結ばせたりすることが可能となる。その「格差」を前提として制定、活用されるのが消費者法というわけだ。
学生が実務担当する「無料法律相談」 画像
学生が実務担当する「無料法律相談」
法科大学院では民法、民事訴訟法、消費者法の指導に当たるほか、法律相談業務の実務を学ぶ「ローヤリング・クリニック」という科目を担当している。この科目は、キャンパスプラザ京都にある京産大サテライト教室で行われている「無料法律相談」の場で、実際に法律相談に来られた方の相談を学生が行い、先生は適宜アドバイスを送る形で進めている。「教科書など、机上で学ぶ事例はすべて整理されていますが、実際の相談では複雑な事情がからみあっています。

そのような状況から必要な情報を抽出し、正しいと思われる答えを相談者の方に出すことが求められるわけです」。また、相談者は悩みを抱えてこられるので、単に法的なアドバイスを与えるだけでなく、その悩みを解消することも大切なポイントに。「教室で学んだ知識を実際に生かせるかを試すとともに、悩みを解くカウンセリング的な能力や、実務家の意義といった教室では修得できないことを実践的に学ぶ場となっています」。
ひとつひとつの事案の背後にある社会の問題点をとらえる視点が大切。
社会で起こっている紛争を解決し、困っている人を助けるのが弁護士の仕事です」と野々山先生。紛争の中には社会の問題点が潜んでおり、ひとつひとつの事案の当事者の利益を確保することはもちろん、その背後にある社会の問題点をとらえる視点が大切になってくる。そこから法的な問題やこれまでの判例を見直し、次の法解釈や紛争解決につなげていくことの大切さを、実務家の視点から学生たちに伝えていく。「例えば、現在私もかかわっている京都のマンション更新料訴訟の問題。

取り扱っている訴訟そのものの規模は小さいですが、その後ろには数多くの消費者の方がいます。先進的な判決を勝ち取ることによって、社会に貢献できるのも弁護士の魅力のひとつでしょう」。最後に野々山先生のメッセージをお聞きした。「将来どんな人物になるか、そのアドバイスを私たち教員が送ることはできますが、答えは自分で考えなくてはなりません。ただ単に知識だけを詰め込むのではなく、将来どういう人間になりたいかを意識し、幅広い視野を持って学生生活に取り組んでください」。
先生のもうひとつの顔
先生のもうひとつの顔
名古屋出身で、子どものころから大の中日ドラゴンズファン!忙しい合間をぬって、今も年に4回はスタジアムに応援に行っており、現役では井端弘和選手がお気に入りです。

また、3年前に設立された「京都愛知県人会」にも所属し、現在は副会長を担当。毎年京都で開催される全国都道府県対抗女子駅伝の愛知県チームの応援や、鴨川納涼で名古屋名物のひつまぶしの屋台を出店するなど、さまざまな活動を行っています。
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