【文化学部】ポストコロナの観光政策は、どう変わる?そして、京都の観光をより良くするためには?~観光庁からゲスト講師を招聘~

2023.06.23

コロナ禍を経て、持続可能な成長に向け、観光政策はどう転換していくのでしょうか。そして、京都の観光をより良くしていくためには、どのような取組が期待されるのでしょうか。
文化学部専門教育科目の「京都観光論」(担当:中野 宏幸 教授)は、5月10日、観光庁で政府の主要な観光戦略のとりまとめにあたっている観光戦略課課長補佐(総括)の田代 悠真氏をゲストスピーカーにお招きし、「観光を巡る状況と取組」をテーマとする授業が行われました。授業では、ポストコロナに向けて本年3月に閣議決定された政府の新たな「観光立国推進基本計画」が紹介され、京都の観光はどう変わるのかについて、グループワークが行われました。新計画の策定は、昨年10月の政府の関係閣僚会議における岸田総理の発言を踏まえたもので、2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が開催される2025年度までの3カ年度をカバーする総合的な戦略となっています。

(学生ライター 国際関係学部4年次 佐藤 美宇)

ゲストスピーカーの田代氏

はじめに田代氏から、観光立国に向けたこれまでの取組ならびにコロナによる観光への影響とともに、新たな政府の計画の特徴の説明がありました。コロナ禍により旅行者においては、よりサステナブルな旅や自然・アクティビティに対する需要が高まっています。質の向上を一層重視した観光への転換に向け、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」を軸に、観光政策が展開されていくとのこと。

これからの観光戦略のポイントは、①持続可能な観光地域づくり戦略、②インバウンド回復戦略、③国内交流拡大戦略の3つであるとし、これら3つの戦略を達成するための取組として、施設改修や廃屋撤去による景観改善等を通じた観光地の再生・高付加価値化支援や、ラグジュアリーなコンテンツ造成、デジタル技術を用いた旅行者の利便性向上の取組について紹介がありました。また、「『付加価値を高めて客単価を増やして従業員に還元すること』『日本人の旅行は休日に偏っており、平日に旅行に行くことで観光地の混雑を解消すること』が、持続可能な観光のカギになる」と説明されました。

グループ討議に加わる田代氏
コメントする中野教授

授業の後半では、「観光庁の取組を踏まえ、京都の観光を良くするために何が必要と思うか?」とのテーマの下、グループ討議が行われました。各グループでは活発な意見交換が行われ、「観光客に対しても地域への理解として、京都がバス混雑などの問題に直面していることを伝える必要がある」「SNSを通じて、京都市内だけでなく郊外の魅力を発信することも重要だ」「キャッシュレスやWi-Fi対応を可能にする」など、観光地の分散や交通機関の整備、利便性の向上がより良い観光につながるのではないかという意見や、観光地付近の地域住民との協力が重要だといった意見がありました。


新型コロナウイルス感染症の分類が5類感染症に位置付けられ、観光客が増えてきている中、新たな観光政策の必要性を実感することができました。最前線で観光戦略に携わる方のお話を聞くことができ、受講生にとって非常に有意義であったと思います。

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