【文化学部】衹園祭「函谷鉾」その歴史と伝統を学ぶ

2023.06.12

文化学部専門教育科目「京都文化フィールド演習A」(担当:小林 一彦教授)は、京都文化学科の学生を対象に、教室での講義と京都の街中でのフィールドワークを行う、他では学べない唯一の授業です。日本三大祭りの一つである衹園祭。その山鉾行事は重要無形民俗文化財・ユネスコ無形文化遺産への登録もあり、世界的な注目を集めています。授業の履修者は、この「函谷鉾」の運営補助に携わります。5月18日の授業は、函谷鉾保存会理事長の岡本 正氏と専務理事の伊藤 邦夫氏をゲストにお迎えし、衹園祭の神事と函谷鉾の歴史について講義を行っていただきました。

(学生ライター 現代社会学部2年次 釆野 愛梨)

授業では、初めに岡本氏から、衹園祭や函谷鉾の歴史、保存会の活動についてのお話を聞きました。京都の伝統的な祭礼、衹園祭が始まったのは869年の平安時代です。この約1000年の間に、衹園祭は日本史に残る歴史的な大事件の影響を受け続け、そのたびに変遷を遂げています。最も大きな出来事は応仁の乱ですが、1788年に起こった天明の大火もそれに匹敵するものでした。この大火により鉾のやぐら部分などが焼けてしまい、復興には50年もかかったといいます。そんな衹園祭の函谷鉾では、現代においても伝統の継承のために様々な取り組みがされています。例えば、四条通にある函谷鉾ビルは、2階から渡り廊下を使い、直接鉾に乗ることが出来るように設計・建設されており、ビルを訪ねた人が鉾を身近に感じることが出来ます。また、AR・VRを利用し、その場にいなくても函谷鉾を見ることが出来るようにしたり、LINEスタンプを第3弾まで配信したりするなど、これからの未来に函谷鉾を残すために若い世代へのアプローチも積極的に行われています。

登壇する岡本氏

岡本氏は話の締めに、これから函谷鉾の運営補助を行う学生たちに向けて、『祭りは安全に、そして楽しく』という言葉を強調されました。この言葉は函谷鉾の永遠のスローガンとして、昔から継承され続けているそうです。力強いお言葉に、多くの学生がうなずき、聞き入っていました。

次に、伊藤氏からお話をいただきました。「人間は、生きて死ぬまで関わりを持たない人間が大勢いる。そんな中、我々は共に函谷鉾の運営をするというご縁を持てた。」と話しだされ、「令和5年の函谷鉾は一生に一度しかない。この出会い、経験を絆にして大切にしてほしい」と語られました。学生たちは皆、背筋を伸ばし、熱心に話に聞き入っている様子でした。

講義を拝聴した学生からは「このメンバーで運営に携わるのは1回きり。全力で向き合いたい」や「衹園祭や函谷鉾についてもっと学びたくなった」などの言葉が聞かれました。

登壇する伊藤氏
司会を務める学生

直接、函谷鉾保存会の方々からお話を伺い、函谷鉾に対する熱い思いと、この文化を広め継承していくのだという強い意志を感じました。コロナ禍も明け、本格的に復活する今年の衹園祭。本学学生と保存会の方々の取り組みを実際に見に行きたくなった取材でした。

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