【外国語学部】人間到る処青山あり ~大使の経験を通じて得た人間の無限の可能性~

2023.06.02

外国語学部フランス語専攻1年次生対象の専門教育科目「フランス学入門Ⅰ」(担当:坂井 礼文非常勤講師)で、卒業生講演会が行われました。ゲストスピーカーとして招かれた前・駐ギニア大使 松原 英夫氏(1980年外国語学部卒)のお話を聞いてきました。
本学を卒業されてから、外務省で勤めた国家公務員生活は実に42年間。その中でも、約26年間を世界8カ所にも及ぶ在外公館で過ごされました。ご自身の経験を基に、これから将来について考える上での貴重なアドバイスや「語学を使って身を立てる」ことの重要性についてもお話くださったので、参加学生にとって非常に有益な時間となりました。

(学生ライター 国際関係学部4年次 池田 遼真)

外国語学部フランス語学科を1980年に卒業され、法務省勤務を経た後、外務省職員としてフランスやカメルーン、ブルキナファソ、ギニアなどの仏語圏地域の大使館、さらにはアメリカやベトナムの総領事館で勤務された松原氏。「大使の仕事 ギニアを中心に」というテーマの下、在外公館における大使としての業務内容や現地での体験などについて話してくださいました。

前・駐ギニア大使 松原 英夫氏(1980年外国語学部フランス語学科卒業)

講演中は学生から積極的に手が挙がり、外務省や大使の業務内容はもちろんのこと、「大使館で勤務するためには学生生活をどう過ごせばよいか」など、「私たちと同じく京都産業大学で学びを深めた経験を持つ松原氏だからこそお聞きしたい!」という気持ちからか幅広い質問があり、その一つ一つに親身になって丁寧に答えてくださいました。

外務省員は日本国内にある外務省(本省)勤務と外国にある大使館や総領事館など(在外公館)のいずれかで勤務することとなり、国内・海外合わせて約6,600人の職員が働いています。
大使館では、大使、次席(参事官)、書記官、医務官、専門調査員、派遣員、ローカルスタッフなど、さまざまな役割の職員が勤務していますが、海外在住の日本国民の安全確保をはじめ、外交上の交渉、文化広報活動、開発協力など現地政府や団体とのコミュニケーションを取り、海外と日本をつなぐ重要な役割を担っていることが紹介されました。

講演会を熱心に聞く学生たち

また、大使は、赴任先国の要人や他国の大使、国際機関代表との意見交換、国際会議への出席など、大きな使命を持って任務にあたっています。
さらに、大使館の安全のため警備対策が徹底され、職員の健康管理のために医師(医務官)が配置されるなどの管理体制が整っているということが紹介されました。

「海外に駐在していて、日本人で良かったことはありますか」という質問に対しては、世界が日本という国を高く評価しており、その結果外国にいる日本人として良かったと感想を述べておられました。例えば、通常、投資開発や国が主催する国際会議について説明するため国家元首である大統領との面会を要請する場合がありますが、往々にして面会のセッティングには時間がかかるのが常ですが、日本(日本大使館)から要請がある場合にはその日の内に、早ければ2~3時間後には面会が実現するといった例を紹介し、これは日本が世界から信用され高い評価を受けている証であり、仕事をする上で日本人の外交官で良かったと感じたと仰っていました。

参加学生は、松原氏の長年積み重ねてきた経験に裏打ちされた貴重なアドバイスを、目を輝かせながら真剣に聞いていました。


今回の講演会で軸として挙げられていた「人間到る処青山あり」という言葉。「誰もが目指す山(例えば日本一高い山「富士山」)を目指すのも一つであるが、その道程は計り知れなく険しくライバルも多い。しかし、わざわざ皆と同じ険しく登頂の難しい山に挑む必要があるのだろうか。見渡せばさまざまな山々が人生に広がっており、素晴らしい一つの山を見つけ、その頂上にたどり着くという成功パターンがある」という松原氏のメッセージを、しっかりと受け取りました。
松原氏が卒業生として「今を精一杯生きること」、「同じようなゴールに至るにもさまざまなルートや方法があり、それは一つではないこと」、「語学を使って身を立てること」の充実感や有用性を、自分の身を持って示された素晴らしい講演会でした。

松原氏を囲む外国語学部教員 講演会後の記念写真
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