【外国語学部】留学体験記が届きました(谷村 江美さん ドイツ・ライプチヒ大学附属InterDaF)

2025.04.23

留学のきっかけ

私が留学をしたきっかけは「知らない世界に行ってみたかった」という想いを持っていたからです。地元の中学、高校に進学し、人間関係のほとんどが部活や同じ塾に通う友人だけで構築されていました。その影響もあってか、以前の私は偏った価値観で物事を見ていたように思います。
しかし大学に入学し、海外の言語や文化を学び、様々な学生と交流する中で新たな視点を得ると共に、自分がどれほど狭い世界で生きていたのかを実感するようになりました。そして徐々に「もっと異文化に直接触れたい」「まっさらな状態で誰も知り合いのいない町で成長したい」と思うようになり、留学を決意しました。

ライプチヒ

中央駅を出て最初に目にする“Willkommen in Leipzig”の看板
私はドイツ東部の都市ライプチヒへ留学しました。この町は、教会や市庁舎など中世の建造物と、高層ビルのような近代的な建築物が共存しており、その独特の風景が印象的でした。また、ベートーヴェンやバッハ、ワーグナーなど世界的な音楽家の出身地としても有名であり、中心地のMarktから少し歩くと路上で楽器演奏やコーラスを披露する人々に出会うことができます。重厚感のある美しい街並みと、音楽に溢れたライプチヒで過ごした日々は非常に刺激的で、かけがえのない時間になりました。
教会の前で演奏をする人々

語学学校

InterDaFの教室
私はライプチヒ大学附属の語学学校 “InterDaF” に通い、最終的にB2の語学資格を取得することができました。クラスメートは韓国、中国、ネパール、スーダン、ウクライナ、チェコなど世界中から集まっており、休み時間になると様々な言語が飛び交っていました。このグローバルな空間は、語学学習好きの私には理想的な場所でした。特に全コース一緒のクラスだった韓国出身の友人とは演奏会や買い物に行ったり、お互いの寮で料理をふるまい合ったりしました。彼女とコミュニケーションをとるうちに、日常会話程度の韓国語を習得することもできました。また、日本人留学生も多く在学しており、各地の方言や郷土料理を教え合い、帰国後も定期的に会うほどの仲になりました。
授業内で使ったすごろく。止まったマスに書かれている単語を使ってパートナーと会話練習をします。
 更に、この語学学校には私のような留学生だけでなく、様々な目的を持つ人々が通っています。ドイツでの就職、専門学校や大学への入学、自身の研究の為など、それぞれが明確な目標を持っており、参加者全員のモチベーションが非常に高いです。そんな彼らと共に勉強することで、語学の習得はもちろん、人間として大きく成長することができたように思います。

Japanologie Leipzig

ライプチヒには大規模な日独コミュニティ” Japanologie Leipzig”があります。私のような日本人留学生や日本のカルチャーに興味のあるライプチヒ大学の学生、ライプチヒで働く日本人を中心に構成されています。カフェでお互いの言語や文化を教えあったり、ピクニックやパーティーなど様々なイベントを開催していました。私の現地の友人はほとんどがここで出会った学生で、一緒にクリスマスマーケットに出かけたり、スポーツクラブに行ったり、留学生活の大半を共に過ごしました。彼らと過ごすことで、実践的な語学力、ドイツ語での会話力が養われ、更に自分の価値観や考え方を見直すことができました。
現地の友人たちと訪れたバーでカードゲームをした時の様子
Japanologie Leipzigの仲間たちとクリスマスマーケットへ行った際の写真

価値観

中央駅からトラムで10分ほどの公園で練習していました。花や川に囲まれながら、のんびりと過ごすことができます。
特に、私が留学で印象に残ったモノは、現地の人々の考え方やマインドです。
私は幼い頃からピアノを習い、中学、高校、大学全て吹奏楽部に所属する等、長年音楽に親しんできました。しかし、大学の吹奏楽部には、全国大会への出場経験やコンクールで金賞を受賞したことのある部員も多く、活動を共にする中で無意識のうちに自分の音楽技術に自信を持てなくなっていました。自分の音を周囲と比べ、「演奏経験は長いのに全く上手くない」と、自らを否定してしまうことが多くありました。
そんな中、私は「帰国後、部員に迷惑をかけたくない」という思いから、留学先にも自分の楽器を持参し、放課後には近くの湖や公園に出かけて、1人で練習を重ねていました。演奏していると、頻繁に現地の方々が声をかけてくれ、「すごく上手だね」と笑顔で褒めてくれたり、近くにいた子どもが私の音に合わせて踊り出したりと、思いがけない温かい交流が生まれました。自分への評価や大会の結果ばかりを追い求めていた私に、本来の「音楽を楽しむ気持ち」を思い出させてくれる機会となりました。「良いものを素直に褒める」という文化の中で過ごすうちに、私自身も少しずつ前向きなマインドを手に入れることができました。

終わりに

留学と聞くと、難しそう、自分には無理かもしれない、と身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。実際、私も出発前は「一人で本当に生きていけるのだろうか」と不安を感じていました。しかし、長期間海外で生活し、異文化に直接触れる機会は人生の中でそう多くありません。留学は自分の言葉と行動で、海外と繋がるチャンスになります。迷いや不安がある方こそ、ぜひ一歩踏み出してほしいと思います。想像以上の景色、出会いが待っているはずです。
町のシンボルである旧市庁舎。イースターやオクトーバーフェスト、クリスマスマーケットなど、季節ごとのイベントが広場を彩ります
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