【理学研究科】理学研究科物理学専攻の奥野 将さんがthe 45th Scientific Assembly of the Committee on Space Research (COSPAR)にて口頭発表を行いました
2024.08.09
本学大学院 理学研究科 物理学専攻 博士前期課程1年次生の奥野 将さんが、2024年7月13日から韓国で開催されたthe 45th Scientific Assembly of the Committee on Space Research(COSPAR 2024)にて、学部生の時の特別研究の内容に関する口頭発表を行いました。COSPARは2年に1回開催される宇宙科学分野の世界的な会議です。奥野さんは得意の英語を生かして堂々と口頭発表を行い、会場からの質問にも適切に回答していました。なお、本学大学院の研究支援制度により、渡航費用や参加費の支援を受けました*1。
概要
学会 | the 45th Scientific Assembly of the Committee on Space Research(COSPAR 2024) |
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開催地 | 韓国・釜山BEXCO |
期間 | 2024/07/13-2024年7月21日 |
発表日 | 2024年7月19日 |
題目 | Whitening events observed in the Valles Marineris on Mars |
発表者 | Sho Okuno |
発表内容
マリネリス峡谷(図1)は長さ約4,000km、深いところで深さ7 kmにもなる火星の大峡谷です。グランドキャニオンを長さも深さも幅もすべて10倍した程度だと考えればわかりやすいです。アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機HOPEに搭載されたEmirates eXploration Imager (EXI)によって観測された火星のマリネリス峡谷の可視光画像を精査すると、通常は暗く映るマリネリス峡谷が頻繁に明るく白くなることを発見しました。奥野さんはマリネリス峡谷の明るさに基づいて”Black Valles Marineris”と”White Valles Marineris”に分類し、マリネリス峡谷の白化現象の統計解析を行いました。その結果、マリネリス峡谷の白化は北半球の夏を除いた季節によくみられること、午前中から午後にかけて白化がよく見られる季節もあれば、逆に午前中から午後にかけて見られなくなっていく季節もあることがわかりました。同じHOPEに搭載された他の観測機器のデータから、このようなマリネリス峡谷の白化が起こっているときには、峡谷内部の大気中の浮遊ダストが多くなっていることも明らかになりました。すなわち、White Valles Marinerisの正体は峡谷内部のダストであり、白化の季節依存性や地方時依存性は、ダスト関連現象のそれらであることが強く示唆されました。
*1 大学院生による国内外での学会に出席する機会や論文誌への投稿の機会を増やすことにより,大学院生の教育研究の活性化および充実を図る制度。国内外で開催される学会に出席する際に要した旅費等、論文誌(査読付き)への掲載費および図書館資料費について、一人当たり年間25万円を上限として支援を受けられます。