【理学部】数理科学科学生向け談話会を開催しました

2024.07.03

2024年6月26日(水)に「数理科学科 学生向け談話会」を開催しました。
今回の談話会では、数理科学科の新任教員である宇野 勝博 客員教授ならびに勝股 審也 教授が講演を行いました。

「有限群のフュージョンとモジュラー表現」宇野 勝博 客員教授

宇野 客員教授は「有限群のフュージョンとモジュラー表現」という題目で講演を行いました。
宇野 客員教授の講演は、有限群論で有名な主張であるシローの定理やバーンサイドの定理の復習から始まりました。その後圏論の概念を用いてこれらの主張を現代的な言葉に読み替え、p-群上のsaturated fusion systemという概念を説明しました。宇野 客員教授はこの概念の具体例にも言及し、ハイゼンベルグ群や対称群のあるシローp-部分群上のsaturated fusion systemの分類問題について知られている結果を紹介しました。さらに講演終盤では、saturated fusion systemとモジュラー表現の間の関係についても紹介がありました。学部の代数学の講義で学ぶ内容がその後どのように発展するかを知ることができ、参加者は大いに刺激を受けることができました。

「ホーア論理のモナド的モデル」勝股 審也 教授

勝股 教授は「ホーア論理のモナド的モデル」という題目で講演を行いました。冒頭では勝股 教授の主な研究分野であるプログラミング言語の意味論について簡単に解説しました。その後、プログラムの振る舞いを事前条件と事後条件により記述して推論するための論理体系であるホーア論理について説明しました。さらにホーア論理のモデル構築、特にプログラムが起こす副作用のモデル化を行う際に、プログラミング言語の意味論の研究で用いられる「モナド」という圏論的概念を応用することで見通しが良くなることを紹介しました。講演終盤には、最弱事前条件述語変換子といわれる概念の合成性に関する自身の研究結果について触れ、確率的プログラムの実行時間の期待値の計算への応用についても説明がありました。

当日は多くの学生や教職員が談話会へ参加し、大盛況のうちに幕を閉じました。本談話会が学生の更なる学習、研究の意欲向上に繋がれば嬉しく思います。

談話会は、学内教員や研究実績のある研究者を招聘して定期的に講演会を行うことで、理学の最先端の研究内容に触れ、研究意欲の促進、教育・研究の質的向上を図ることを目的として実施しています。参加は教員だけでなく、学部生、大学院生、その他一般の方々も可能です。

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