【国際関係学部】学部の学びを超えて活躍する4年次 森賀 優太さんを取材しました!

2024.03.29

コンテスト参加者の集合写真(森賀さんは下段の左から2番目) ※長崎県庁より提供
学部の授業以外にも活躍の場を求めて積極的に取り組む学生を紹介する本企画。

今回は、長崎県が主催する「しまチャレ2023」に応募し、学生チャレンジ部門 部門賞を受賞した国際関係学部4年次の森賀 優太さんにお話を聞きました。
しまチャレ2023(「ながさき『しま』のビジネスチャレンジ2023」)」とは
「しま」の暮らしに関心のある方、「しま」で何かにチャレンジしたい方、「しま」の活性化のアイデアを持つ方を対象に、ビジネスコンテストという形でアイデアを募り、それぞれのアイデアの実現に向かってチャレンジすることを応援するプログラムです。

今回のコンテストに参加(応募)したきっかけ・動機を教えてください。

大学生活を送る中で、僕は「どんなキャリアを歩みたいか?」という問いにぶつかり、進学と就職で悩んでいました。その一方で、大学院試験の願書やエントリーシートの締切が迫ってきていたこともあり、進路について考える時間を持とうと思い、大学を1年間休学しました。休学期間中は広島の尾道周辺や長野の松本や乗鞍へ行った際に、京都の知り合いの方から長崎県対馬市にある「一般社団法人MIT」を紹介していただきました。一般社団法人MITは海里山を連関させていく触媒として機能していくことをミッションに、対馬市内で事業を行っており、環境課題や社会課題の解決に取り組んでいます。環境保全だけではなく、地域づくりという文脈でも事業展開をしています。そのため、僕は実際に働いてみたいというところで、インターンという形で受け入れていただき、そして、対馬に実際に3ヶ月住むことになりました。漁師や農家、木こりに猟師といった一次産業で生計を立てている方々とご一緒する中で、自然というコントロールが効かない場で働いているかっこよさや自身の仕事に自信と面白さを見出している姿に触れ、もっと関わってみたいと思うようになりました。そんなタイミングで、対馬島内で水産加工事業や飲食事業を行っている「有限会社 丸徳水産」に出会いました。アジやサバのような一般的な魚の加工だけではなく、磯焼けの一因になっている「食害魚」の加工、販売等も行っています。一緒に魚を選別したり、捌いたりと現場に立たせていただき、他にも海に関わる勉強会にもご一緒する中で、僕自身も面白さを感じていました。そして、1~2ヶ月を漁村で過ごす中で、「対馬で、対馬の人たちと一緒に"こと"を起こしたい」と思うようになったということもあり、漁村を中心に事業を行っていく計画を丸徳水産と共同で企画を作成しました。また、ただ作成するだけではなく、実働していくために客観的な評価を得たいというところからしまチャレ2023に参加しました。
森賀さんは、「対馬発!新しい漁村づくり事業“GYOSON”」をテーマに発表しました。
各部門で部門賞・奨励賞を受賞された方々、特別賞を受賞された方々のインタビューはこちら(しまチャレ2023Webサイトより)
漁師さんたちが案内してくれる対馬の海。

今回のコンテストを通して、ご自身にとってプラス(成長)につながったこと、気づきは?

今回のコンテストで発表するプレゼンテーションや質疑応答の準備を時間をかけて行ったことで、事業の効果や利点を再確認できた一方で、支出やリスクも明確になり、その対応策を盛り込むことで事業計画をブラッシュアップすることができました。それだけではなく、コンテスト内のフィードバックより、僕自身が分析する上で見逃していたことを再認識することができたため、より緻密に、複数事項を考慮に入れながら事業計画を考えることができるようになったと思います。
あとは、人前で発表することや話すことに慣れたように思います。まだまだ自信は持てないし、相変わらず緊張はしますが、ある程度落ち着いて話をすることができるようになった点は成長を感じました。

「しまチャレ2023」でプレゼンテーションをしている様子 ※長崎県庁より提供
学生チャレンジ部門賞を受賞した森賀さん(右) ※長崎県庁より提供

この企画を考えるうえで、活かすことができた国際関係学の学びは?

「批判的な思考」と「多様な角度から見て、考える」は活かすことができたと思います。
今回の企画は、「社会課題の解決」するために多様なアクターが参加できる「まちづくり」という手法を用いて組んでいます。今回の企画を準備するために、「対馬が持つ、地域や産業が衰退している根本的な要因はどのようなものなのか。」「地域の人がその解決策を実行するとして、実現可能なのかどうか。」「実際問題、誰がどのような形で企画を実施していくのか。」などの問いを立てながら、企画を練っていきました。こうした問いを立てていくためには、「本当にそうなのか?」と考えられる批判的な思考力を活かすことができたんだろうと思います。

加えて、一次情報を得ようとする行動は2年間で増えたと思います。大学内での勉強だけでは、社会課題に対する解決策が理想的すぎたり、社会課題に直面しているアクターの情緒的なものを放棄した考えに行き着くことがあるように感じています。だからこそ、自分で社会課題を見つめにいく必要性があるように考えています。それは、「適切」だと呼ばれるものがどこにあるのかを考えていくために、社会課題から目を離してみる。逆に近づけてみる。課題の始点の部分を見る、裾の部分を見てみると言った多様な角度から課題を見るということが必要でした。その一方で、大学での学びは重要であることは変わりなくて。課題を見つめる時には、学内で学んだ分析方法を用いたり、論理的に当てはめつつも、情緒的や地域特性的に差異はどのように発生しているのかも考えていく必要がありました。
国際関係学部で学んだことの集大成の一つがこの企画に生かされていると思います。
対馬の海の漂着しているごみ
対馬の海岸線に広がる漂着ごみ

今の活動をとおして、今後の抱負、また将来に繋がること・繋げたいことは?

卒業後は対馬の海と漁師の方と一緒に働いていくことになります。対馬の海をめぐる社会課題に直面するアクターになっていきます。ただ、それでも、一次情報だけを頼りにしていくだけではなく、学術的な分析や論文から勉強しながら、目の前の課題に直面していけたらいいなと思います。あとは、いつかでいいので、国際関係学部の学生が対馬をフィールドに研究した際には、共同で参画させてもらえる機会をいただけたら嬉しいです。

2年前の取材時からご自身の中で何か変化はありましたか。

もっと大学で勉強したいと思うようになったところだと思います。やっぱり、まだまだわからないことや考えが足りないところに気がつきます。アカデミックな分野での勉強をもう少し時間をかけながら、活動できればと思うばかりです。なので、仕事が落ち着いた時には大学院への進学を目指してもいいかなと思います。

国際関係を学ぶ学生(興味を持っている高校生)のみなさんへ一言

国際関係学ほど複雑であり、不確実性に富んでいる学問は他にはないんだろうなと思います。だからこそ、この学部では考えることが求められてくるし、勉強もしていかなければいけない。けれど、勉強を続けていると、自分の中に行ってみたい場所や学びたいことが不思議と発生してきます。それがあったからこそ、僕は京都や長野、対馬やインドネシアに行くことができました。今後は、オランダやチェコ、徳島とか行きたいと思ってますし、継続して学びを深めていきたいです。

学部では課題や提出物が多くて、確かに大変です。けれど、それらから得られるものが僕らの生活をより楽しいものにしてくれるので、怖がらずに素直に向き合ってみるのがいいのかもなと思ったりします!もし、どこかに迷い込んでしまったときは、先生方に相談するもよし。日本国内外へ飛び出してみるのも良いと思います。またその時に、よかったら対馬にでも寄ってください。美味しい魚と一緒に待っています。

インドネシアのウブドにて
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