【国際関係学部】平和構築論Ⅱにて立命館大学 石原名誉教授がカンボジアPKOと日本の国際平和活動について講演

2024.01.17

12月28日(木)5時限目、「平和構築論Ⅱ」(担当:クロス京子教授)の授業の一環として講演会「カンボジアPKOから30年-日本の国際平和協力活動の原点を振り返る」が開催されました。本講演ではカンボジアPKOに広報担当として参加されていた立命館大学名誉教授である石原 直紀氏にお越しいただき、日本の国際平和協力活動について現場での活動を経験された石原氏ならではの視点からお話しいただきました。

(国際関係学部3年次 奥村 力斗)


はじめに石原氏からPKO(国連平和維持活動)の起源についての解説がありました。PKOの原型は中東戦争における国連による和平のための停戦監視であることや最初のPKOはスエズ危機の際に行われたものであること、加えて、時代の変遷を経て変化したPKOの制度づくりの過程についても詳しく聞くことができました。

続けて石原氏ご自身が参加されたカンボジアPKOについてのお話を聞くことができました。石原氏がカンボジアPKOに参加した経緯、現場の様子および活動内容、カンボジアPKOに自衛隊を派遣することに対する日本国民の反応など、カンボジアPKOに関する非常に幅広い内容について話してくださいました。この話の中で個人的に印象的だった内容は当時の日本の世論に関する内容です。カンボジアPKOは日本の自衛隊が初めてPKOに派遣された事例であるため、当時の日本の世論やメディアはとても注目していたそうです。実際に現場にも多くの日本からの記者が取材に訪れ、広報担当であった石原氏は対応に追われたとおっしゃっていました。このような当時の様子は私たちが知りえない内容であったためとても興味深かったです。

講演される石原氏
講演の後半では日本のPKO活動の今後に関して語ってくださいました。石原氏は自身の考えとして、日本は長きにわたって資金援助を通じた国際協力への貢献を行ってきたが、今後はこれに加え、明石 康氏や緒方貞子氏のような優秀な人材および外交の知恵を提供する、知恵・人・資金「三位一体」での国際協力への参加が大事なのではないかと述べられていました。これを聞いて私はカンボジアPKOから30年たった今でも日本の国際協力への参加にはまだまだ課題があることを改めて実感しました。
質問に答える石原氏

最後に学生から石原氏に質問をする時間がありました。カンボジアで活動をしていた際、自分自身の安全は確保されていたのかという質問に対し、現場の治安が悪化した場合は活動を縮小させたり、危険だと思うことがあれば代表に進言したりすることができることを定めたガイドラインはあったと答えてくださいました。また、日本のPKO協力は国内の制度づくりが未だに完璧といえない状態で行われているが、それについてどう思うかという質問に対しては、日本のPKOに対する世論の理解を得ることが必要だが、それをどのように達成するのかどうかは想像力を働かせる必要があるとおっしゃっていました。

今回の講演会ではカンボジアPKOにおいて実際に現場で活動された石原氏ならではのお話をたくさん聞くことができました。ユーモアと知識に富んだ石原氏の語りは聞いていてとても楽しかったです。また本講演は、私たちが日本の国際平和協力について考えるよい機会になりました。

クロス教授(左)と石原氏(右)
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