【文化学部】社会で活躍する卒業生たち~それぞれの挑戦の物語~

2024.07.05

文化学部専門教育科目「文化学部の学びとキャリアA」(担当:藤高 和輝 准教授、久米 裕子 教授、志賀 浄邦 教授)は、文化学部での学びと自身のキャリアおよびキャリア・デザインの関係を意識し、大学卒業後、実社会を生き抜いていく上で基本となるものの見方・考え方を涵養することを目的とする授業です。

授業の様子

今回の授業では、本学文化学部卒業生の和田 汐織氏(京都文化学科卒、株式会社千總勤務)、池田 光氏(国際文化学科卒、株式会社美手紙代表取締役)、村田 そのこ氏(国際文化学科卒、作家・アーティスト)をゲストスピーカーとしてお迎えし、「社会で活躍する卒業生たち」というテーマの下、文化学部での学びとキャリアの関係について考えました。卒業生の方々には、座談会形式で「大学時代の文化学部での学びはどのようなものでしたか?」「現在の職業に就くまでの経緯は?」「現在の仕事のやりがいや仕事上苦労していることは何ですか?」「現在の仕事は文化学部で学んだこととどのようにつながっていると思いますか?」等の質問に答えていただきました。

質問に答える和田氏

和田氏は在学当時、京都文化学科に所属していましたが、京都の各所を訪れるフィールドワークの授業が特に印象に残っていると語られました。入学当初から着物文化に関心があり、所属していた吉澤 健吉 元教授のゼミでは「どうすれば若者が着物を着てくれるようになるか?」という研究テーマに取り組みました。和田氏が最初に着物業界に興味を持ったのは、ご自身が振袖を選んだ時のことであったということです。ご家族と共に千總の店舗を訪れた際、接客してくださったスタッフの方の美しい姿を忘れることができず、千總への就職を強く望むようになりました。就職活動の際には千總以外の企業は考えられず、一点集中で挑んだとのことです。

日々の仕事に従事する中では、多様な客層への対応、特に最近増加している外国人ゲストの方々とのコミュニケーションに苦労していると語られました。英語が苦手であると感じているため、英会話の勉強も始められたとのことで、こちらの思いを自分の言葉でしっかりとお客様に伝えることができるよう日々努力されているということです。仕事のやりがいとしては、節目の慶事の折にご家族で千總を訪れてくださる方々の思い出作りのお手伝いができることを挙げられました。

文化学部での学びが直接仕事に役立つということはそれほど多くないものの、フィールドワークの経験や図書館司書課程での学びは、自身の引き出しを増やすことにつながっている他、広い視野を持って業務に取り組むことの助けにもなっていると話されました。大学時代に身につけた京都に関する知識が接客等の場面で生きることもあり、お客様からの信頼も得やすくなっているそうです。最後に受講生へのメッセージとして、「自分の好きなことをとことん追求しましょう」と語られました。

質問に答える池田氏

国際文化学科を卒業した池田氏は在学当時、近藤 剛 教授のゼミに所属していましたが、ゼミでの学びの中でも特にプレゼンテーションやディベートの準備を徹底的に行った経験が現在の「準備力」につながっていると話されました。卒業論文の研究テーマは世界の喫茶店文化に関してで、トルコやイギリスをはじめとする世界各地のカフェの歴史や政治的な議論の場としてのカフェの役割等について考察されたとのことです。池田氏は本学を卒業後、いったん一般企業に就職されましたが、程なく退社されます。その後は個人事業主としてさまざまな事業を試す中で得た知見をもとに、ショート動画制作事業の立ち上げを決意されました。ラジオ局での編集長の経験等もあったため、それらの経験を生かして若いうちに新しいことを始めるべきだと感じて起業に踏み切ったと、これまでの歩みを語られました。そして2022年11月に動画制作会社(株式会社美手紙)を立ち上げ、それ以来代表取締役として事業を展開されています。

池田氏は、自身で設立した会社を成長させることに大きなやりがいを感じている他、自分がやりたいことに自身の裁量で投資できることや、仮説を立てて検証するプロセスにも楽しさを感じているとのことです。また、お客様と接することを通じて自身の成長を実感できた時や、一緒に働いてくれている社員が成果を出した時には特に大きな喜びを感じるのだそうです。また仕事上の苦労は尽きないものの、苦労を苦労と思わず日常的なものと捉えることで乗り越えていけていると、仕事への思いを話され、最後に受講生へのメッセージとして、ご自身の経験を踏まえて「どんどん新しいことにチャレンジしましょう」と語られました。

質問に答える村田氏

村田氏は、文化学部の第1期生として国際文化学科を卒業されました。在学当時は小林 武 元教授のゼミで中国文化を専攻していました。卒業研究では儒教思想が日本のマナーに与えた影響について考察されたとのことです。学生時代は全学応援団吹奏楽部に所属し、クラブ活動にも熱心に取り組んでいたことが紹介されました。卒業後は地元の高知県でUターン就職されましたが、結婚を機に京都へ転居されました。ご自身の結婚式の際にウェディングボードを制作する過程で、絵を描くことの楽しさに気付き、この経験をきっかけに本格的にアートの道を歩み始め、ワンストローク・ペイントという技法に出合いました。現在はフリーランスのアーティストとして、オーダーメイドの作品制作の他、アートペイントの講師を務めたり、ワークショップを開催したりと、幅広く活動されています。

作品制作は創作活動である以上、自分の内面と向き合うことが必須となりますが、そのあたりを作品でどう表現するかなど、「産みの苦しみ」を感じることもしばしばあるとのことです。主婦としての仕事もあるため、創作活動は集中して一気に取り組むことが多いそうですが、内面から湧き出てくるものやインスピレーションにもとづいて創作しているため、時間を問わず夜中でも閃いたら描かざるをえないこともあるとのこと、創作活動への熱い思いが語られました。文化学部での学びと現在のキャリアのつながりに関しては、陰陽や太極図をモチーフとした作品が在学中に学んだ中国の思想や文化にもとづいているなど、気付けば結果的につながっている部分が多いということです。最後に受講生へのメッセージとして、「人と人のつながりを大切にしてください。自分の内なる声に耳を傾けましょう」と語られました。

久米教授による司会進行の下、授業は終始和やかな雰囲気で進みました。受講生からは以下のような声が聞かれました。

  • 今回来てくださった3人とも目標を持ち、それに向かって努力をし続ける姿勢が素晴らしいと思いました。
  • 自分の考え方や、価値観、好きなものを理解する事が、自分にあった仕事を選んでいくヒントになるのだと知れて良かったです。
  • まずはなんでもやってみると言うことをみなさんおっしゃっていたのでどんなことでも躊躇せずにチャレンジしてみようと思いました。
  • 大学で学ぶことが本当に役に立つのかわからなくなることが多くあり、これから先の自分にどのように繋げばよいのかが分からなかったので、自分の引き出しを増やすという気持ちを大事にすることが重要だと学ぶことができました。
  • 私も興味のあることに興味だけで終わらず、やってみる、挑戦してみるという一歩を踏み出したいと思いました。
司会を務める久米教授と登壇した3人の卒業生

今回の授業を通じて、受講生たちは文化学部での学びが卒業生たちのそれぞれのキャリアにどのように生かされているかを具体的に知ることができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。今回の授業で学んだことを、これからの学生生活や将来のキャリア形成に役立ててくれることを願います。

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