【理学部】宇宙物理・気象学科の4年次生が学会発表を行いました

2023.06.02

理学部 宇宙物理・気象学科の4年次生5人が、2023年5月21日から幕張メッセで開催された日本地球惑星科学連合(JpGU)2023年大会に参加しました。「アメダスデータに見る比良山系の突風の統計的特徴」と題したポスター発表を行い、多くの聴講者を集めました。幕張メッセの巨大な展示ホールでは、NASA-JAXAハイパーウォールをはじめとする様々なイベントが開催され、関連企業や大学のブースが並び、その横で多くのポスター発表が行われました。コロナ前の熱気が戻ってきた学会会場で、学生5人は約1時間半にわたって途切れることのない聴講者に熱心に説明しました。

比良山系は滋賀県と京都府の間にあります。その東側にある琵琶湖に向かって強風が吹くことが知られていて、「比良おろし」と呼ばれています。滋賀県在住の方は、JR湖西線が頻繁に止まることからも実感がわくと思います。「比良おろし」に関する研究はいくつかありますが決して多くありません。しかも、強風、突風と呼べないような基準で抽出された事例が多く、何を「比良おろし」と呼ぶのかすらはっきりとしていませんでした。強風や突風イベントの定義に使用される物理量には、よく聞く最大瞬間風速のほかに突風率という量もあります。そこで、滋賀県南小松のアメダスデータを用いて先行研究の追試を行うとともに、最大瞬間風速と突風率の両方を用いて基準を複数通り変更して強風イベントを抽出し、それぞれの強風、突風時に典型的な気圧配置を明らかにしました。その結果、低気圧型と呼ばれる気圧配置時に南小松で強風、突風が吹くことが多いことがわかりました。一方で、西高東低型と呼ばれる気圧配置時の強風、突風の頻度は、それらの基準によって大きく異なることがわかりました。

宇宙物理・気象学科では2023年度から少人数制の宇宙物理・気象学PBL演習A、 BおよびCを開講しています。宇宙物理・気象学PBL演習AおよびB(2022年度は特別セミナーとして試行)で1年かけて研究を行い、次年度の宇宙物理・気象学PBL演習Cで研究内容を学会発表することを目指します。今回発表した4年次生5人は、昨年の5月から研究を始めました。最初はアメダスデータを読み取ること自体にも四苦八苦していましたが、よく聞く最大瞬間風速や突風率という言葉の定義を厳密に理解し、正確に運用し、研究成果をまとめることができました。今年度の宇宙物理・気象学PBL演習Aでも、今年度の3年次生が研究を始めたところです。来年度も素晴らしい成果が期待されます。

名称:日本地球惑星科学連合2023年大会 Japan Geoscience Union Meeting 2023
場所:幕張メッセ国際会議場
期間:2023年5月21日(日)~26日(金)

発表風景
質問に対応する第1著者の宇宙物理・気象学科4年次生の奥野さん
宇宙物理・気象学PBL演習Cの履修者の皆さんと小郷原一智准教授(右端)
会場風景
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