【理学部】KEKサマーチャレンジ2022とJ-PARCの夏季実習に参加した理学部物理科学科の学生にインタビュー

2023.01.27

今回は2022年の「大学生・高専生のための素粒子・原子核スクール サマーチャレンジ」と「J-PARC大強度ハドロンビーム用検出器の開発実習」に参加した3年次生のインタビュー報告です。

1. KEKサマーチャレンジ2022に参加

2022年8月17日から26日まで、高エネルギー加速器研究機構(KEK)が主催する「KEKサマーチャレンジ2022」に、本学理学部物理科学科 小林すずなさん(3年次)、北山敦貴さん(3年次)と小野楓真さん(3年次)が参加しました。夏休みの間に第一線で活躍中の研究者による講義とスクール形式の実験と演習のプログラムです。
小林さんの実習テーマは「放射線検出器を作ろう〜IoT 技術と物理実験〜」でした。設計図にしたがい、ハンダコテをにぎり、回路基盤にハンダつけして自分たちで放射線検出器を製作し、ラズベリーパイ(IoT)で信号を読み込み、トリウム崩壊系列のラドンの崩壊を観測しました。アルファー線が1つ通過するとフォトダイオードで電気信号になり、パソコンで読み込んだデータをpythonで解析しました。測定装置を一から製作し、それを使って測定と解析するという内容でした。
北山さんの実習テーマは「量子干渉実験」でした。光子の波動性をみるために光電子倍増管(PMT)を使った測定実習とデータ解析のノウハウについて学びました。フィルターを通して1光子状態にして2重スリットの干渉実験でした。
小野さんの実習テーマは「自然放射線を理解しよう〜GMカウンタの製作から線量測定まで〜」でした。自然放射線を測定するためのGM(ガイガー・ミュラー)管を利用した測定器の製作とその性能評価を通して、自然放射線への理解を深めるという内容でした。測定器は自分たちで設計図をもとにして回路を組みました。その後はゲルマニウム半導体測定器を利用して測定器の校正作業をし、最終的には測定器を線量計へと改良することができました。

北山さんの実習の様子

2. 大強度陽子加速器施設J-PARCの夏季実習に参加

2022年9月26日から30日までの期間、茨城県のJ-PARC(大強度陽子加速器施設)において国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構が実施した夏期休暇実習プログラムの1つ「J-PARC大強度ハドロンビーム用検出器の開発実習」に理学部物理科学科 村田映世さん(3年次)が参加しました。
実習内容は、施設見学と実験実習があり、施設内の移動に車や自転車を使いながら、J-PARC内の物質・生命科学実験施設やハドロン実験施設を見学し、実験の実習ではE16という実験で使う鉛ガラスカロリメータの光電子倍増管の性能測定を行い、それを実際の研究現場で使うために取り付け取り外し作業などをしました。また夏期実習生懇談会、燃料試験施設やWASTEFの施設見学にも参加しました。

加速器施設の様子

Q. 実験は難しかったですか?

北山> ノイズが多く装置の設定が難しかったです。でも普段の学生実験と違って、試行錯誤する時間が十分与えられていて、仲間と一緒にいろいろなアイデアを出し合うのが楽しかったです。

小林> とにかく装置を一からつくることが楽しかったです。いろいろな先生方のお話が面白かったです。ちょっと工場見学的な遠足気分も味わえました。自由に自分のペースで仕事をさせてもらえるのもよかったです。

小野> 実験自体は難しくなかったですが、慣れない電子回路の作成が難しかったです。自分の場合は、測定器の制作過程で多くのトラブルが生じ、その解消が大変でした。中でも測定結果に現れた高周波ノイズの原因の特定とそれを除去する作業が一番大変でした。

Q. 原研内の施設はどうでしたか?

村田> すごく広くて移動が大変でしたが、食堂は美味しかったです。

Q. 他大学の人と一緒に作業してどうでしたか?

村田> 楽しかったです。学年も年齢も異なり、大学院生も参加されていてよい刺激になりました。

小野> 非常に楽しかったです。みんな物理が好きで気が合いました。

実験機器
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