【外国語学部】世界中の人と出会えたペルージャ留学(小森山 遼さん)

2023.03.29

外国語学部ヨーロッパ言語学科イタリア語専攻 3年次 小森山 遼さん

柔道の年末パーティー

私は3年次生の約10カ月間、イタリアのウンブリア州にあるペルージャで過ごしました。以前から異文化や外国人との交流に興味があり、「大学では絶対に長期留学に行きたい」という漠然とした目標だけを持っていた私にとって、ペルージャ留学はイタリアの言語や文化を学びながら世界中の学生と交流することができ、素晴らしい経験となりました。

イタリアに到着して私が最初に行わなければならなかったことは、3度目のワクチン接種、グリーンパス(EUのワクチンパスポート)の取得でした。今までどの接種をしたか、その時の副反応はどうだったかなどを伝える必要がありました。海外でこのような経験をしたことがなく、緊張したのを今でも覚えています。しかし最初にこの経験をしたので、その先の出来事は何も怖くなくなりました。コロナウィルスによって行動を制限されたこともありましたが、この時期だからこそできた貴重な経験の1つです。

クラスメイトとの昼食
この留学では人との交流に力を入れようと考えていました。しかし、前半は大学で友人を作ることから大苦戦しました。話すことができても距離を縮められなかったり、ある月にはクラスメイトが6人でその半分以上が日本人だったり、自分が思い描いていた留学生活を実現するのは想像以上に難しかったです。大学に通っているだけではイタリア人の友人はできないので、以前から習っていたダンスや友人の紹介で始めた柔道を通じて、たくさんの人と交流しました。ダンスは、SNSを使ってスタジオを探し、月に1回程度レッスンを受けたり、スタジオが主催するパーティーに呼んでいただいたりしました。柔道は、日本で一度も体験したことはありませんでしたが1週間に2回の練習に参加させてもらいました。日本のスポーツをイタリア語で一から習うのはとても不思議な感覚でした。また、交流し始めると、時間感覚の違いが想像以上に大きく、驚きました。連絡の返信はいつもボイスメッセージで、最初は全く理解できず、イタリア人の話すスピードに圧倒されました。ようやく会う約束ができても、5分前にキャンセルされることもありました。このように良くも悪くも新たな発見ばかりでした。しかし、仲が深まるにつれて、出会ったばかりの私にも仲間の一員のように接してくれる、温かいところ、日頃から感じる親切心、寛容さなど、多くの魅力に気づくことができました。そして大学でも徐々に交友関係を広げることができました。お互いに自分の国の料理を作り合ったり、簡単な挨拶などを教え合ったり、日常的に世界中の文化に触れることができました。
外国人だけでなく、多くの日本人との出会いもありました。音楽大学入学のためイタリアへ来ている人、サッカーをするためにイタリアへ来ている人など、日本では知り合うことがないような友人ができました。また、実際にイタリアで働いている日本人から、仕事についてお話を聞く機会もありました。イタリア人と過ごす楽しさがある反面、全く違う文化や国民性を持つ環境で働くことの難しさを知ることができました。例えば、コーヒーを飲み雑談をしながら楽しい雰囲気で仕事をすることができますが、時間を守ることが疎かである点、急ぎの仕事であっても残業をしない点など、想像できることであっても実際に経験した人から聞くと、より大変なことだと感じられました。
ダンスで出会った友人
ダンスレッスンの様子
ペルージャでの演奏会

私は彼らと過ごす中で様々な面で成長できました。Sì(イエス)かNo(ノー)をはっきり伝え、自分の意見を言えるようになりました。そして多国籍の友人と意見を交換したり、出かけたり旅行したりすることで、異なる文化や価値観への適応力が身につき、文化も考え方も違うからこそ、しっかりと自分の思いを伝え、理解し合うことが大切だと気づかされました。交通機関の大幅な遅延やストライキ、他国への旅行中に遭ったトラブル、それらを乗り越えたことで、冷静に考え、判断する力や予測する力がつきました。このように、何気なく送っていた日常生活や、周りの友人が自分を変えてくれたように感じます。
そして、フレンドリーでお喋り好きなイタリア人と、その文化のおかげでもあります。最初はマイナス面しか目に入りませんでしたが、友人との出会いや、自分自身の変化、生活への慣れから捉え方が変化していきました。日本でイタリアについて学習した時、バール(喫茶店)などで店員さんとお客さんは友達のようにたくさん話をするということを知り、本当にそんなことがあるのかと疑っていましたが、最終日には私自身も無意識に鞄屋のおじいさん、バールの店員さん、出国審査の人、免税店の人など、イタリアから出る直前まで初対面の人と友達のように話をするようになりました。

留学中には15カ国以上の国を訪れました。アルバニアやブルガリアなど他国で、イタリア語が通じた時やイタリア人と出会った時の喜びは大きく、「イタリア語が話せるの?」がきっかけでたくさん会話ができました。また、デンマークに行った際には、旅行していたスロバキア人と友達になり、数カ月後スロバキアの首都のブラチスラバで再会し、案内をしてもらいました。

このような経験から、人との出会いは自分がどう動くかによって大きく変わるということを、身をもって実感しました。留学前は、話かけるのが苦手で、一度も自分から声をかけて人間関係を築こうとしたことはありませんでした。しかし、イタリアでは、日頃から積極的に行動してみました。すると想像もできなかったような出会いや経験に繋がりました。知らない人ばかりの初めての土地で、たった10カ月で、このように素敵な交友関係が築けるということを、想像もしていませんでした。イタリアでの様々な年齢、性別、国籍の人との出会い、そして様々な経験は、自分にとって大きな財産となり、さらに世界が広がったと感じることができた10カ月でした。

デンマークで出会ったスロバキア人の友人
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