【文化学部】「華道」と「茶道」から学ぶ観光文化

2023.06.30

文化学部専門教育科目「観光文化学PBL1」では、京都での学びに相応しい美意識を涵養し、観光文化や自己に対する洞察を深めるために、華道体験と茶道体験を授業に取り入れています。今年度は6月14日(水)に京都市中京区にある桑原専慶流にて華道体験を行い、6月28日(水)に京都市北区にある速水流にて茶道体験を行いました。

桑原専慶流:華道体験

江戸時代前期に創流された桑原専慶流は現家元で十五世となります。授業当日はまず副家元の桑原櫻子氏から、いけばなや桑原専慶流の歴史、京都の暮らしなどに関する説明を受けました。次に、花材や鋏、剣山、花器などの扱いについて、副家元が実演を交えながら解説をしてくださいました。その後、学生25名がいけばなに挑戦し、各々の作品を作り上げていきました。

はじめはこわごわと花材に触れる学生も多かったのですが、時間が経つにつれて少しずつ緊張がほぐれ、楽しみながら花をいけている様子が伺えました。中には熱中するあまり、終了時間ギリギリまで作品づくりに没頭する学生の姿も見受けられました。出来上がった作品には、副家元や次期家元の桑原健一郎氏からの講評をいただきました。お褒めの言葉を頂戴した学生の顔には、思わず笑みがこぼれていました。茶道体験後の室内には各々の個性が光るオンリーワンのいけばなが溢れていました。

学生の声「桑原氏が『薔薇は水を大切にする』と言われていたのが印象的だった。お花や葉をまるで一人の人間のように扱っていると感じた」「『日本のいけばなは花の葉までいける』というお話が印象に残っている」「まず家の構造に驚いた。細長い露地には水が撒かれていて、外とは違う雰囲気にのまれるような感覚になった。静けさの中で聞こえる井水の音が心地よく、このような空間で華道を経験することができて良かった」

 華道体験の様子

速水流:茶道体験

江戸時代後期に創流された茶道速水流は、現在八代の速水宗燕氏が家元を務めています。授業当日は梅雨の蒸し暑さに加えて、30℃を超える真夏日ということもあり、授業開始前には京都の暑さに辟易している学生も多く見受けられました。しかし、茶室へと向かう露地に一歩足を踏み入れると、目の前には青々と茂る爽やかな木々と周囲の喧騒を忘れる穏やかな空間が広がっており、学生一同からは感嘆の声があがっていました。

授業開始早々、宗燕氏から茶室では暑い季節に涼を感じる工夫が所々に施されているとの説明がありました。当日の掛軸は速水流三代家元が描いた滝であり、視覚的な涼しさを意図しているとのことでした。また、「茶釜から聞こえる音」と相まって実際の滝のように涼感を醸し出しているとのことでした。その他にも、建具の簾戸や茶室内から見える庭の風景、そして季節の主菓子などの様々なものから視覚的な涼しさを感じることができました。学生たちは茶道の所作や、主菓子とお茶のいただき方、茶碗の拝見の仕方など、慣れないことに悪戦苦闘しながらも、茶道の世界に引き込まれている様子でした。

学生の声「高校生の頃に部活で茶道をしていたが、今日の授業ではまた新しいことをたくさん学ぶことができて良かった」「これまでも別の授業で茶道について学ぶ機会はあったが、実際に茶道をするのは初めてだったので、とても良い経験になった」「茶道の所作や道具にはひとつひとつ意味があるということを教えていただいた。これまで茶道との接点はなかったが、今日のお話を聞いて、お茶の世界はとても興味深いと感じた」「宗燕氏から教えていただいた『敬和清寂』の精神をもって毎日を過ごしていきたいと思う」

 茶道体験の様子
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