【文化学部】井尻教授が「『草枕』国際俳句大会」の選者を務めました

2022.12.08

文化学部国際文化学科 井尻 香代子 教授は、スペイン語圏の文学と日本の詩歌の交流関係を発端に生み出された「スペイン語俳句」について研究していることから、例年、「『草枕』国際俳句大会」(※参照)スペイン語部門の選者を務めています。
11月26日(土)、熊本市で開催された第27回「『草枕』国際俳句大会」表彰式に選者として参加し、講評を行いました。
講評を行う井尻教授 
 

以下、井尻教授から寄せられたメッセージです。

スペイン語部門には、19か国から278句の応募がありました。
新型コロナウィルス感染症は未だ収束せず、長引く経済的打撃により不安定な社会状況も生まれています。しかし、受賞作品には人々の生活と自然との関わりの中から生まれる人生の様相が様々に切り取られています。そのような中でも「地下水都市・熊本賞」を受賞した次の句は、春先の生活のディテールに入り込んだ「戦争」がくっきりと描かれて読者の心を動かします。

Tregua de Pascua…
los pequeños juegan con
armas de juguete
復活祭の休戦
子らは遊ぶ
玩具の武器で

Keith Simmonds(フランス)

 

キリスト教の暦では大切な復活祭、望まれた休戦、それなのに無邪気に戦争ごっこをする子供たちがありのままに示されるのです。この一場面の「写生」の中に表現された複雑な思いの中には、私たちが伝え育んできた「俳諧の精神」に通じるものが確かに感じられます。
熊本市は、本学創設者・初代総長である荒木俊馬氏の生誕の地でもあります。今後も「草枕」国際俳句大会との連携関係を大切に育み、発展させていきたいと考えています。

「『草枕』国際俳句大会」
1996(平成8)年に、夏目漱石来熊百年記念事業として創設。第1回から外国語部門を擁する国内有数の「国際俳句大会」となっている。また国内向けの一般部門、写真俳句部門、インターネット部門、ジュニア部門も毎年全国から多数の応募を集めている。

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