【国際関係学部】 国際経営論Ⅰの授業にて外部講師による「APECと日本のビジネス」に関する講演会が開催されました!

2022.07.01

6月23日(木)に国際関係学部の専門教育科目である「国際経営論Ⅰ」(担当:植原行洋教授)において講演会が開催されました。経済産業省 通商政策局の新倉崇之アジア太平洋地域協力推進室室長を外部講師としてとしてお招きし、「APEC(アジア太平洋経済協力)と日本のビジネス」について現在の世界情勢をふまえてお話しいただきました。

(学生ライター 国際関係学部3年次 林 菜央)

今回の講演会では、“APECとは何か?”、“APECとビジネスとの関係”、そして“最近の世界情勢とAPECへの影響”の3つのトピックに沿ってお話しいただきました。

新倉氏による講義を熱心に聴く学生

最初のトピックであるAPECの紹介では、枠組みの概要だけでなく、歴史や特色、議論内容まで詳しく説明していただきました。

APECは1989年に創設されてから、米国や中国、ロシア、日本などの21ヶ国が加盟する多様性のある地域経済協力の枠組みとして拡大してきました。会議での話し合いによって定められたルールには拘束性はなく、各国の協調的自主性に委ねられていることに加え、毎年開催される会議の議題は経済分野にとどまらずパンデミック対策や環境問題など政治経済情勢に対応した多様でタイムリーな内容であるということが紹介されました。

また、先進国や途上国において自由で開かれた貿易投資を達成することを目的とした「ボゴール目標」や、ボゴール目標の成果と課題をふまえた新たな目標である「APECプトラジャヤ・ビジョン2040」についても触れられていました。

次に、“APECとビジネスとの関係”として主にAPECの具体的な取り組みについてお話しいただきました。ガイドブックの作成などを通した質の高いインフラストラクチャーの投資・開発の実施や関税削減対象となる環境物品54品目への合意、エネルギー・レジリエンス(強靱性)に関する議論など、政府による取り組みだけでなくAPEC ビジネス諮問委員会 (ABAC)との連携によるビジネスの観点を取り入れた政策も推進されていることが言及されました。

最後には、ウクライナ情勢によるAPECへの影響についてお話しいただきました。

今年の5月にはタイで2年ぶりとなる対面のAPEC貿易担当大臣会合が実施され、日本を含めた複数国がロシアの閣僚大臣による発言の際に席を離れることで抗議の姿勢を示したというニュースが話題となりました。なぜこのような対応に至ったのか、ニュースでは知ることができないAPECに深く関わる新倉氏ならではの貴重なお話を伺うことができました。

めまぐるしく変化していく国際情勢の中でAPECのような国際協力の枠組みはどうあるべきなのか、そしてその中でも日本はどのように振る舞えば良いのかを考える機会になりました。

新倉氏の講義に対して質問する学生

質疑応答の時間では、学生から「現代におけるサプライチェーンの問題に対してAPECとして取り組んでいることはあるのか」「加盟国の拡大についての協議はされているのか、新たな国が加盟する可能性はあるのか」「途上国でのカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みは行われているのか」などのさまざまな質問が寄せられました。

今回の講義を受講して、APECの基本情報を丁寧に解説していただいたことに加え、ウクライナ情勢といった現在の国際情勢をふまえた内容であったため理解がしやすく、非常に興味深かったです。国際社会における1つの主体(アクター)として今後APECがどのような取り組みを展開し、日本のビジネスに影響を与えていくのか注目していきたいと思いました。

国際関係学部の授業では、外交、ビジネス、国際協力の現場で活躍する実務家を招き、世界の最前線の知識や実情を学びます。
他にもさまざまなゲストスピーカーによる講演会を開催しています!

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