理学部 物理科学科の新山 雅之准教授が共著者とレビュー論文を出版

2021.08.25

成果

理学部 物理科学科の新山雅之准教授が、共同著者と共にレビュー論文 ” QCD and the strange baryon spectrum” を学術誌Progress in Particle and Nuclear Physicsに出版しました。 

掲載論文

題目: QCD and the strange baryon spectrum
著者: M. Niiyama, T. Hyodo
掲載誌: Progress in Particle and Nuclear Physics
Volume 120, September 2021, 103868
https://doi.org/10.1016/j.ppnp.2021.103868
 

背景

素粒子の1つであるクォークでつくられる粒子をハドロンと呼びます。ハドロンはバリオンとメソンに分類され、陽子や中性子などのバリオンは3つのクォークで構成されており、中間子(メソン)はクォークと反クォークでつくられています(図1は陽子とK中間子の模式図)。近年の理論・実験双方の活発な研究によって多くのバリオン・メソンが調べられ、そのいくつかはこれまで確立してきた粒子とは異なる構造を持つ可能性が示されてきました。3つのクォークやクォークと反クォーク対以外の特異な構造を持つハドロンをエキゾチックハドロンと呼びます。

研究概要

この論文で新山准教授らはストレンジクォークという少し重いクォークを含むバリオン(ハイペロン)の最新の研究結果をまとめ、レビューしました。特にストレンジクォークを1つ含むラムダΛ(1405)粒子がバリオンとメソンの分子状態なのか、興味が持たれ世界中で活発に研究されています(図2はバリオン=メソン分子状態候補のΛ(1405)の模式図)。また、ストレンジクォークを2つ含むエキゾチックハドロン候補や3つ含むバリオンが日本のBelle 実験の最新のデータで新たに見つかってきました。この論文はこれらの粒子を中心に最近のハイペロンの研究について包括的にまとめたものです。

図1: クオークからつくられる陽子とK中間子の模式図
図2: バリオン=メソン分子状態候補のΛ(1405)の模式図
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