【文化学部】開設20周年記念シンポジウムを開催しました!!

2021.12.14

12月4日(土)、文化学部開設20周年記念事業の締めくくりとなる、シンポジウム「<旅>を旅する—思想・歴史・古典芸能・文学からのメッセージ—」を、むすびわざ館ホールで開催し、約150名の方にご参加いただきました。

左上から黒坂学長、井㞍学部長、志賀副学部長、村上教授、近藤教授、笹部准教授、ペレッキア准教授、中西教授
総合司会の大平 睦美教授の進行のもと、最初に志賀 浄邦副学部長から文化学部のこれまでの活動やシンポジウムの趣旨について説明があり、その後、黒坂 光学長から、各学科の特徴と文化学部への京都の地における“文化”への取り組みの期待を含むご挨拶をいただきました。

シンポジウムは、文化学部の京都文化学科・国際文化学科の教員4名がそれぞれ専門の切り口から研究報告し、その後、ディスカッションを行いました。

近藤 剛教授(ヨーロッパ思想史・宗教学・キリスト教神学)は、「ホモ・ヴィアトール—旅の途上にあるということ—」と題して、人文学の考え方、旅のとらえ方についてふれた後、代表的な宗教の「聖地」を取り上げ、その概要と特色をまとめ、次に「巡礼」という行為及び「巡礼者」について考察し、「途上」という状況を認識したうえで「超越への志向性」を持って旅することが人間性を再創造することにつながると、神学や西洋哲学の思想を踏まえた説明を行いました。

笹部 昌利准教授(幕末維新政治史・日本近代史)は、「近代京都と「観光」—あるべき「ミヤコ」の模索—」と題して、明治維新によって東京が首都となった後の京都の「古都」としての再生について、近代の「京都策」や京都の書肆の出版活動、外からの視線を意識した伝統・文化の見せ方の展開、さらにイベントや案内記などを素材に、官民一体となった近代都市京都の創出について論じました。特に明治初年に欧米を視察した岩倉具視が、その国の良きところを見せることこそ、近代国家のあるべき姿と解し、「観光」の重要性を喚起したことについて説明を行いました。

ペレッキア ディエゴ准教授(日本伝統芸能(能楽)・演劇学)は、「「不到観諸處」—空想を旅する能の物語—」と題して、むすびわざギャラリーで開催中の企画展「能面面々」にもふれながら、謡曲に関する名所の紹介から、能に「夢幻」と呼ばれる要素があり、≪龍田≫の地理的な旅と≪野宮≫の時間旅行を具体的に紹介・検討するなかから、能を通したバーチャルトラベルの可能性と自己教養としてのあり方を指摘しました。

中西 佳世子教授(19世紀のアメリカ文学・アメリカ文化)は、「旧世界を旅するアメリカ人—マーク・トウェイン『地中海遊覧記』-」と題して、アメリカ人の小説家マーク・トウェインが1867年にヨーロッパと聖地を訪れた旅行の記録から、当時の観光ブーム、新興国であるアメリカ人たちの自意識とヨーロッパや聖地エルサレムに対する意識、同旅行記のフィクション性とノンフィクション性などについて説明を行いました。

その後、本シンポジウムのモデレーター村上 忠喜教授(日本民俗学)の司会のもと、報告者間で質疑応答・意見交換が行われ、「聖地」・「空間と時間」・「近代」・「旅のあり方」など、報告で出されたいくつかの論点について、理解を深めました。
ディスカッションの様子
最後に井㞍 香代子学部長が、文化学部の歩んだ20年の世界情勢に触れつつ、時代によって変化する文化を蕉風俳諧の不易流行に例えて閉会の辞を述べ、シンポジウムは幕を閉じました。

コロナ禍で一時は対面での開催が危ぶまれましたが、無事に開催することができ、文化学部の学際的な学びのおもしろさ、文化学部の魅力を十分に発信することができました。
参加者アンケートでは、「「旅」という1つのテーマから様々なアプローチを見ることがおもしろかった」、「旅に関する新たな見方・とらえ方ができる良い機会になった」、「文化学部の多面性、重層性の学びの醍醐味を実感した」といった感想が寄せられました。

なお、本シンポジウムの内容は、12月下旬ごろより、動画での配信も予定していますので、当日会場に来られなかった方は、本学Webサイトの文化学部のページをご確認ください。
ご来場、ありがとうございました!!
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