【文化学部】「観光文化とキャリア」で、行政と企業のゲストスピーカーが講演

2021.12.09

「観光文化とキャリア」(中野 宏幸教授)では、12月2日と9日にそれぞれ、国土交通省近畿運輸局の角谷敬二郎観光部長から「広域観光行政の取組み」、三井物産の能登谷淳中部支社長から「海外駐在を経て考える観光」について、オンラインの事前収録方式で講演をいただきました。この授業は、観光に関するキャリア形成を図ることを目的としたもので、今回はその一環として実施したものです。観光に関する制度・政策・事業の基本的枠組みとあわせ、観光文化・交流やまちづくりに関する戦略や実務的取組みを幅広く学ぶことを目的としています。
収録方式で講演される三井物産の能登谷中部支社長
三井物産の能登谷支社長からは、三井物産株式会社の概要の説明とあわせ、英国やドイツ、シンガポールでの長い海外駐在経験を踏まえ、ヨーロッパの多様性や歴史・文化の奥深さ、日本の治安・衛生への安心の有難さや「日本は本当に素晴らしい」と感じたことをご説明いただきました。また、グローバル化の中では他者との違いや感性を理解することが大切であり、そのためには自分たちがどういうものなのかという物差しをもつことが大切との話がありました。さらに、海外経験を経て考える観光について、「今何があるかだけではなく、それがいつ、どういう理由・経緯でできたのか」、「その場所に住んでいる人たちがどんな価値観を持っているか」などを掘り下げてみて、「海外と日本との違いがどんなところにあるのかという視点を持つこと、そのためには日本をもっと知ることが重要だ」と熱く語られました。
能登谷支社長から説明のあった三井物産株式会社の経営理念やグローバルネットワーク
近畿運輸局の角谷観光部長からは、自治体や事業者・DMO(観光地域づくり法人)などと連携し運輸局が管区行政機関として行っている広域的な観光の取組みについてご説明頂きました。その中で、関係省庁を含む多数の関係者と連携・調整を行う「観光ビジョン推進関西ブロック戦略会議」、関西の国内・インバウンド周遊旅行の早期回復に向けた様々な取組を関係者がワンチームで行っている「チームKANSAI」の紹介等がありました。
収録方式で講演される近畿運輸局の角谷観光部長
2025年に開催される大阪・関西万博では、今後、検討されている万博関係の移動・観光情報を一体的に提供するアプリケーションについて、万博と運輸局の関わり等の説明がありました。さらに、これからの観光人材に求められるスタンスについて、「観光産業は裾野が広く様々な関わり方があるが、プラスとマイナスの両面含めた多角的・複合的な視点をもちつつ、自ら考え生み出そうという気概をもって取り組むことが大切」といった話をいただきました。
角谷観光部長から説明のあった観光分野における関係者との連携の取組みの事例
この授業は、今年度から文化学部に「観光文化コース」が設置されたことにあわせて新規開講されたものです。本授業では、これまで文化庁地域文化創成本部や京都府商工労働観光部、西日本旅客株式会社や関西エアポート株式会社の方々から講演をいただきました。これらの講演に関して学生からは「企業間あるいは地域・住民との連携によって観光発展が支えられていることがよく理解できた」「常に時代に求められるものを作り出していこうとする想像力の豊かさを感じた。この姿勢はどのような仕事にも大切であるのかもしれないと感じ取ることができ、非常に有意義な講義だった」、また講演者の方々からの「大学での学び」に関するアドバイスについては、「海外の文化や価値観を体感するなど、学生時代に視野を広げていくべきと感じた」「身の回りの当たり前の風景に「なぜそうなのだろうか」という視点をもつことが大切という話に共感した」といった感想がありました。
観光を取り巻く社会経済情勢や市場環境は大きく変化しているコロナ禍の今だからこそ、地域の方々と連携しながら、地域創造と魅力発信にどう取り組むか、学びをさらに深めていくことを期待しています。
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